一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する(第3章 テンソルと直線座標のテンソル場)§ 1~6
石井俊全「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」ベレ出版 の読後行間補充メモ
(→ 正誤表)
(→ 事項索引)
(→ 第1章 数学の準備)
(→ 第2章 物理の準備)
§1 テンソル積
p208 の元
2次元線形空間 上のベクトル
p209 テンソル積
添え字 は、いずれも走る添え字(場合分けして和をとる)
演算 の計算方法は、p210 に定義。
p210 線形空間 上の元
元 が、線形空間 上の基底 を用いて、以下のように表されるとき、 元 は、線形空間 上の元(ベクトル)である。
同様に、別の線形空間 上の元 も観念できる。
この2つの元
- 線形空間
上のベクトル - 線形空間
上のベクトル
について、テンソル積 を考える。
テンソル積 は、4つの軸
を持つ4次元の線形空間 上の元(ベクトル)である(p210)。
(4次元の線形空間を、2次元図面上に図示することはできない。上記はイメージ図)p211 を満たす は存在しない
のうち、第2項( )がない が存在するためには、 または のいずれかの係数が、0 である必要がある。
ここで、第1項が存在する以上、 の係数は 0 ではないので、 の係数が、0 である必要がある。
しかし、この場合、第4項が 0 となってしまう。
よって、 を満たす は存在しない。
p212 線形空間
2次元線形空間 の基底を として、
は、基底が の2個(= )のベクトル空間 は、基底が の4個(= )の4次元空間 は、基底が の8個(= )の8次元空間 は、基底が の16個(= )の16次元空間
* は、1または2の値をとる止まった添え字。
p212 の元
は、 の基底である
のうち、第1項及び第4項の係数が 0 であるもの。
これを の元とテンソル積をとると、p212 の末尾2行目のとおり、 の基底8個のうち4個のみが現れる(他の項は係数が0となるため)。
p213
例えば、 を 次元空間とし、その基底を、
とする。これらを組み合わせて作られる 階の反変テンソル空間を考えると、基底の個数は、 個であり、具体的には、
の8種類の基底となる( 個の から構成される)。
これは、 次元線形空間であり、 と表される( 個の から構成される)。
この線形空間、 の元(ベクトル) は、 と表される。
という8次元線形空間におけるベクトルを示している。
p213 のテンソル積
の3種類である。
このとき、 の元である は、 と表され(添え字 は、各々、1、2、または3のいずれかの数値をとる)、その成分の個数は、以下の場合分けのとおり、 個である。
具体的には、
の9種類である。
すなわち、 は、具体的には、以下のような9次元線形空間における元(ベクトル)である。
また、 の元である の成分の個数は、 個であり、具体的には、
の3種類である。
これら元 と元 のテンソル積 を とすると、
である。
その成分の個数は、 個であり、具体的には、
の27種類である。
テンソルの成分 は、該当する 成分と 成分の積を成分とする三次元配列である。
例えば、 は、 の2丁目1番3号の成分が、 の2行1列目の成分と の3番目成分の積であることを指している。すなわち、 の場合、 であることを指している。
§2 基底の取り換えと成分の書き換え
p218 基底の取り換え
である。
この2式は、止まっている添え字 (分ける)を用いて( は、1または2の数値をとる)、以下のように縮約記法で1式にまとめ表記できる。 同式の右辺を走る添え字 (和をとる)を用いて縮約表記すると( は、1または2の数値をとる)、
p218 成分の書き換え
である。
この2式は、止まっている添え字 (分ける)を用いて( は、1または2の数値をとる)、以下のように縮約記法で1式にまとめ表記できる。
p218
ここで、 は止まった添え字なので、与式は、 に応じて縦に場合分けをして、 となり、 は止まった添え字なので、 に応じて横に場合分けをして、 となる。
この左辺は、行列の積として、 と変形できる。
他方で、右辺は、クロネッカーのデルタ の定義より(p121)、
よって、与式は、 と同値である。
p219 (1)2~4行目
また、 は、 のときは、 であり、他方で、 のときは、 であるから、両方の場合をまとめると、 となる( との積をとると、走る添え字が、 の止まっている文字と交換される。p121)。
p219 定理3.05 基底の取り換え行列 と成分の書き換え行列
行列 を、 行・ 列目の 要素 で表わすと、 行列 を、 行・ 列目の 要素 で表わすと、 行列 と行列 とは互いに逆行列。
p220
元 は、 の元であるので、基底は以下の4つがあるが、
このうち、 と の係数が、0 であるため、見かけ上、基底2つによる元となっている。
p221 途中式3.05
添え字を入れ替えて、 や として式変形に用いている。
p221 の基底の取り換えと成分の書き換え
この基底の取り換えに伴い、これら基底のテンソル積から構成される反変テンソル空間 の元 についても、基底が変換される。
同時に、その成分 も成分 へと変換される。
成分の変換式は、以下のようになる。 例えば、元 が3階反変テンソル空間 の元である場合は( )、 となる( は三次元配列)。
§3
p222 相対空間 、相対基底
相対基底の取り換えルールは、 の基底 を、取り換え行列 で、ダッシュ付き基底 へと取り換える場合に、相対基底 を逆行例 でダッシュ付き相対基底 に取り換えるというもの。
と とは別の線形空間のまま。 と との間の変換法則ではない。
p222 の基底の取り換えと の基底の取り換え
p223 混合テンソル空間
反変テンソル空間 は、
その基底は、 である( が1、2の値をとるとき、4個の基底=4次元空間)。
他方で、混合テンソル空間 は、
その基底は、 であり、 が1、2の値をとるとき、 の4個の基底となる(4次元線形空間)。
この各基底は、
が1つあるので1階反変 が1つあるので1階共変
であり、混合テンソル空間 は、1階反変・1階共変。
p223 反変・共変
反変・共変の言葉の由来は、p234を参照。
p224 1階反変・2階共変のテンソル空間
混合テンソル空間 は、
その基底は、 であり、 が1、2の値をとるとき、 の8個の基底となる(8次元線形空間)。
この各基底は、
が1つあるので1階反変 が2つあるので2階共変
であり、混合テンソル空間 は、1階反変・2階共変。
p224 問題3.09
から構成される。
問題文の元 は、各基底の係数が以下のものである。
同様に、問題文の元 は、各基底の係数が以下のものである。
から構成される。 問題文の元 は、各基底の係数が以下のものである。
問題文の元 は、各基底の係数が以下のものである。
p225 各種の
p225 テンソルの成分
テンソルの成分 は、( )次元配列である。
例えば、 であれば、5次元配列であり、5つの指標で指定される場所( が1または2の数値をとる場合、全部で の場所がある)に、特定の数値が格納されている。。
以下の例では で特定される場所に、特定の数値(例:777)が格納されている。
このような項(係数×基底ベクトル積)が、 空間(3階反変・2階共変のテンソル空間)の元(ベクトル、要素)の場合、合計で、 項がベクトルの加算項目として存在する。
p226 のテンソル積
- 反変部分…成分の上付添え字、基底の下付き添え字(
) - 共変部分…成分の下付添え字、基底の上付き添え字(
)
§4 テンソルの縮約・縮合
p229 縮約
① となる成分を抜き出して和をとると(=添え字を を で統一)、
② を落とし、
p229 の成分の上添え字と の成分の下添え字の縮合
問題3.15には、直接には添え字は数値しかないが、縮約記法を用いれば、
と添え字部分を文字表記できるので、
の成分の上添え字 … の成分の下添え字 …
と解釈できる。
よって、 の縮約を求めればよい。
すなわち、 のうち、
① となる成分を抜き出して和をとり、
② を落とせば良い。
p231 テンソルの縮合による反変次数 と共変次数 の変化
2つのテンソルが以下の次数であるとき、
これらのテンソル積の次数は、p226の定義3.11のとおり、 となる。
これを縮約すると、縮約時の選択対象の基底は、 であるので(p229)、反変次数と共変次数が共に減少し、 の次数のテンソルとなる。
§5 成分の書き換え
p233
ここで、基底 をダッシュ付き基底 へと取り換える場合、 とあらわされるが( の下付き添え字 を の上付き添え字 で消去し、 の下付き添え字 を に新たに付加するイメージ)、この両辺に、 の逆行例 を左から乗ずると、 と とは逆行列なので、 となり、ダッシュ付き基底 を基底 へと取り換える場合の式が得られる。すなわち、
同様にして、相対基底とダッシュ付き相対基底との取り換えについても、以下の式が成立する。
元(ベクトル)を変えないまま、基底を変えると( )、成分も変更を要する( )。
相対基底の変更( )についても同様である。( )
基底 の取り換え行列 は、相対基底での成分 の取り換え行列 と同じである(赤色部分)。このため、相対基底での成分 を「共変成分」と呼ぶ。青色は「反変成分」である。
p236 6行目
他の行列要素も同様。
よって、 と置くと( は、1または2の値を採る止まった添え字[場合分けして分割])、8行目の式が成立する。
p236
他の行列要素も同様。
よって、 を止まった添え字[分割]、 を走る添え字[和をとる]として、 と縮約表記でまとめることができる。
同式を、 について展開すると、 である。
p237 問題3.20 の成分の書き換え
基底の取り換えを、 と表記変えすると( )、基底変更・相対基底変更・テンソル積基底変更に伴う成分変更は、以下の比較表のとおり。
なお、p238 の成分の書き換え
線形空間 の基底 を、ダッシュ付き基底 に取り換えると、以下の変更も同時に行われる
- 相対空間
の基底 を、ダッシュ付き基底 に取り換え - テンソル空間
の基底 を、ダッシュ付き基底 に取り換え の成分 を、ダッシュ付き成分 へと書き換え
添え字を、全体で合わせた比較表は、以下のとおりである。
p238 成分
例えば、 の添え字が以下の の2つである場合には、 2次元配列にかかる4つの要素を指す。
これのダッシュ付き基底変換後の成分 は、 である。
添え字 は止まった添え字[分割]、添え字 は走る添え字[和をとる]なので、 は、実際には以下のような数値要素で構成されている。
添え字が以下の の3つである場合には、行列(2次元)では表記できないが、3次元配列であり、 を表している( 8要素)。
これのダッシュ付き基底変換後の成分 は、 である( の添え字が から へと変更されているのは、同じ式に属する の添え字と区別し、かつ、 の各添え字に対応させたためである。 自体は同じ( )8要素からなる配列 である)。
§6 成分の書き換えとテンソルの演算
p240 テンソルの演算
- 和:
- スカラー積:
- テンソル積:
- 縮約:
- 縮合:
縮約
p241
定理3.21より。
p241 末尾9~8行目
基底 と相対基底 の関係(p238)より
同じ添え字は、一括して他の添え字に代えても構わないので、
としたうえ、式変形に用いている。
p242 問題3.23 の元
問題文の元 は、基底の係数 で、他の係数が、 のものである。
p242 6行目 中略箇所
同箇所の第1項を展開すると(ベクトルの上矢印を省略)、
また、同箇所の第2項を展開すると、
両項を合計すると、以下の成分の係数は、いずれも0となるので、
残余の成分をまとめることで、7行目の式が得られる。
p248 6行目
また、 の変形箇所は、以下の通り、場合分けをした検討結果による。
すなわち、 のときは、 他方で、 のときは、 よって、両場合をまとめると、 が確認できた。
p248 が直交行列のときは、
未証明。
p248 「この本では、直交基底でない場合の変換則を考える」
後述の p295 では、正規直交基底の場合の、 を前提とする説明あり。
p249 相対性原理
異なる観測者(相対的)であっても、テンソル方程式による物理法則は同じ記述式となる。