一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する(第3章 テンソルと直線座標のテンソル場)§ 1~6

  石井俊全「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」ベレ出版 の読後行間補充メモ

(→ 正誤表
(→ 事項索引



§1 テンソル積

Tr(V) とテンソル積  


p208 V の元 e1, e2
2次元線形空間 V 上のベクトル


p209 テンソル積 Sijeiaj
添え字 i, j は、いずれも走る添え字(場合分けして和をとる)
Sij は、行列Sij 列目の数値を示す。S=(S11S12S21S22)
演算 の計算方法は、p210 に定義。

p210 線形空間 V, W 上の元 S, T
S が、線形空間 V 上の基底e1, e2 を用いて、以下のように表されるとき、S=2e1+3e2S は、線形空間 V 上の元(ベクトル)である。

同様に、別の線形空間 W 上の元 T も観念できる。
この2つの元
  • 線形空間 V 上のベクトル S
  • 線形空間 W 上のベクトル T
について、テンソル積 ST を考える。

 テンソル積  ST  は、4つの軸
  • e1a1
  • e1a2
  • e2a1
  • e2a2
を持つ4次元の線形空間 VW 上の元(ベクトル)である(p210)。
(4次元の線形空間を、2次元図面上に図示することはできない。上記はイメージ図)


p211 ST=e1a1+e2a2 を満たすS, T は存在しない
  • e1a1
  • e1a2
  • e2a1
  • e2a2
のうち、第2項(e1a2)がない ST が存在するためには、e1 または a2 のいずれかの係数が、0 である必要がある。
ここで、第1項が存在する以上、e1 の係数は 0 ではないので、a2 の係数が、0 である必要がある。
しかし、この場合、第4項が 0 となってしまう。
よって、ST=e1a1+e2a2を満たすS, T は存在しない。

p212 線形空間Tr(V)
2次元線形空間 V の基底をe1, e2 として、
  • T1(V) は、基底が ei の2個(=21)のベクトル空間V
  • T2(V) は、基底が eiej の4個(=22)の4次元空間
  • T3(V) は、基底が eiejek の8個(=23)の8次元空間
  • T4(V) は、基底が eiejekel の16個(=24)の16次元空間

i,j,k,l は、1または2の値をとる止まった添え字。

{e1{e1{e1{e1e2e2{e1e2e2{e1{e1e2e2{e1e2e2{e1{e1{e1e2e2{e1e2e2{e1{e1e2e2{e1e2

p212 T2(V) の元S
S=3e1e2+2e2e1
は、T2(V) の基底である
  • e1e1
  • e1e2
  • e2e1
  • e2e2
のうち、第1項及び第4項の係数が 0 であるもの。
これをT1(V) の元とテンソル積をとると、p212 の末尾2行目のとおり、T3(V) の基底8個のうち4個のみが現れる(他の項は係数が0となるため)。

p213 Tr(V)=VVV 
例えば、Vn=2 次元空間とし、その基底を、
  • e1
  • e2
とする。これらを組み合わせて作られるr=3 階の反変テンソル空間を考えると、基底の個数は、nr=23=8個であり、具体的には、
  • e1e1e1
  • e1e1e2
  • e1e2e1
  • e1e2e2
  • e2e1e1
  • e2e1e2
  • e2e2e1
  • e2e2e2
の8種類の基底となる(r=3 個の e から構成される)。
これは、nr=8 次元線形空間であり、T3(V)=VVVと表される(r=3 個のVから構成される)。
この線形空間、T3(V) の元(ベクトル)S は、S=Sijk eiejekと表される。
Sijkはテンソルの成分であり、その数値は、三次元配列 Sijknr=8 個ある各成分のいずれか一つを指す。ここで、元 Si, j, k は、いずれも走る添え字(全場合の和をとる)なので、元 S は、具体的には、S=  S111 e1e1e1+S112 e1e1e2+S121 e1e2e1+S122 e1e2e2+S211 e2e1e1+S212 e2e1e2+S221 e2e2e1+S222 e2e2e2
という8次元線形空間におけるベクトルを示している。

p213 Tr(V) のテンソル積
n=3のとき、V の基底は、
  • e1
  • e2
  • e3
の3種類である。
このとき、T2(V) の元である S は、S=Sij eiejと表され(添え字 i, j は、各々、1、2、または3のいずれかの数値をとる)、その成分の個数は、以下の場合分けのとおり、n2=32=9個である。
{e1{e1e2e3e2{e1e2e3e3{e1e2e3
具体的には、
  • e1e1
  • e1e2
  • e1e3
  • e2e1
  • e2e2
  • e2e3
  • e3e1
  • e3e2
  • e3e3
の9種類である。
すなわち、S は、具体的には、以下のような9次元線形空間における元(ベクトル)である。
S=  S11 e1e1+S12 e1e2+S13 e1e3+S21 e2e1+S22 e2e2+S23 e2e3+S31 e3e1+S32 e3e2+S33 e3e3

また、T1(V) の元であるT=Tk ekの成分の個数は、n1=3個であり、具体的には、
  • e1
  • e2
  • e3
の3種類である。
T は、具体的には、以下のような3次元線形空間における元(ベクトル)である。T=T1 e1+T2 e2+T3 e3


これら元 S と元 T のテンソル積 STU とすると、U=ST=SijTk eiejek=Uijk eiejek
である。
その成分の個数は、n3=27個であり、具体的には、
  • e1e1e1,    e1e1e2,    e1e1e3
  • e1e2e1,    e1e2e2,    e1e2e3
  • e1e3e1,    e1e3e2,    e1e3e3
  • e2e1e1,    e2e1e2,    e2e1e3
  • e2e2e1,    e2e2e2,    e2e2e3
  • e2e3e1,    e2e3e2,    e2e3e3
  • e3e1e1,    e3e1e2,    e3e1e3
  • e3e2e1,    e3e2e2,    e3e2e3
  • e3e3e1,    e3e3e2,    e3e3e3
の27種類である。
ST は、具体的には、以下のような27次元線形空間における元(ベクトル)である。
ST=  U111 e1e1e1+U112 e1e1e2+U113 e1e1e3+U121 e1e2e1+U122 e1e2e2+U123 e1e2e3+U131 e1e3e1+U132 e1e3e2+U133 e1e3e3+U211 e2e1e1+U212 e2e1e2+U213 e2e1e3+U221 e2e2e1+U222 e2e2e2+U223 e2e2e3+U231 e2e3e1+U232 e2e3e2+U233 e2e3e3+U311 e3e1e1+U312 e3e1e2+U313 e3e1e3+U321 e3e2e1+U322 e3e2e2+U323 e3e2e3+U331 e3e3e1+U332 e3e3e2+U333 e3e3e3
テンソルの成分Uijk=SijTkは、該当するSij 成分と Tk 成分の積を成分とする三次元配列である。
例えば、U213=S21T3は、U の2丁目1番3号の成分が、S の2行1列目の成分と T の3番目成分の積であることを指している。すなわち、S={12{177233T={12365の場合、U={12{1{123S21×T3=77×65=5005233であることを指している。


§2 基底の取り換えと成分の書き換え



p218 基底の取り換え
(e1, e2)=(e1, e2)(a11a21a12a22)=(a11e1+a12e2, a21e1+a22e2)要素どうしを比べると、
  • e1=a11e1+a12e2
  • e2=a21e1+a22e2
である。
この2式は、止まっている添え字 i (分ける)を用いて(i は、1または2の数値をとる)、以下のように縮約記法で1式にまとめ表記できる。ei=ai1e1+ai2e2同式の右辺を走る添え字 j (和をとる)を用いて縮約表記すると(j は、1または2の数値をとる)、
ei=aijejと表記できる。

p218 成分の書き換え
(x1x2)=(b11b21b12b22)(x1x2)=(b11b1+b21x2b12x1+b22x2)要素同士を比べると、
  • x1=b11x1+b21x2
  • x2=b12x1+b22x2
である。
この2式は、止まっている添え字 i (分ける)を用いて(i は、1または2の数値をとる)、以下のように縮約記法で1式にまとめ表記できる。
xi=b1ix1+b2ix2同式の右辺を走る添え字 j (和をとる)を用いて縮約表記すると(j は、1または2の数値をとる)、
xi=bjixjと表記できる。

p218 ajibkj=δki
ajibkj=δkiにおいて、j は走る添え字なので、与式は、j=1, 2 の各場合を合算して、a1ibk1+a2ibk2=δkiとなる。
ここで、i は止まった添え字なので、与式は、i=1, 2 に応じて縦に場合分けをして、(a11bk1+a21bk2a12bk1+a22bk2)=(δk1δk2)となり、k は止まった添え字なので、k=1, 2 に応じて横に場合分けをして、(a11b11+a21b12a11b21+a21b22a12b11+a22b12a12b21+a22b22)=(δ11δ21δ12δ22)となる。
この左辺は、行列の積として、(a11b11+a21b12a11b21+a21b22a12b11+a22b12a12b21+a22b22)=(a11a21a12a22)(b11b21b12b22)と変形できる。
他方で、右辺は、クロネッカーのデルタ δ の定義より(p121)、
(δ11δ21δ12δ22)=(1001)である。
よって、与式は、(a11a21a12a22)(b11b21b12b22)=(1001)と同値である。

p219 (1)2~4行目
aijbkiej=δkjejの変形は、p121 のクロネッカーのデルタ δ の公式(逆行列の積は単位行列)を用いた。
また、δkjejは、k=1 のときは、δ1jej=δ11e1+δ12e2=1e1+0e2=e1であり、他方で、k=2 のときは、δ2jej=δ21e1+δ22e2=0e1+1e2=e2であるから、両方の場合をまとめると、δkjej=ekとなる(δ との積をとると、走る添え字が、δ の止まっている文字と交換される。p121)。

p219 定理3.05 基底の取り換え行列A と成分の書き換え行列B
行列 A を、j 行・i 列目のa要素 aij で表わすと、A=aij=(a11a21a12a22)行列 B を、i 行・j 列目のb要素 bji で表わすと、B=bji=(b11b21b12b22)行列A と行列B とは互いに逆行列。

p220 S=e1e2+3e2e1
S は、T2(V) の元であるので、基底は以下の4つがあるが、
  • e1e1
  • e1e2
  • e2e1
  • e2e2
このうち、e1e1e2e2 の係数が、0 であるため、見かけ上、基底2つによる元となっている。

p221 途中式3.05 bjiei=ej
添え字を入れ替えて、bikek=eibjlel=ejとして式変形に用いている。

p221 Tr(V) の基底の取り換えと成分の書き換え
V の基底 ej=(e1, e2, ,en)aij で変換して、ei=(e1, e2,  en) とする。
aij の逆行列をbji とすると、bji は基底を基に戻す働きがある。
この基底の取り換えに伴い、これら基底のテンソル積から構成される反変テンソル空間Tr(V) の元S についても、基底が変換される。
e1e2en    e1e2en
同時に、その成分Sij も成分Skl へと変換される。
成分の変換式は、以下のようになる。Skl=bikbjl Sij例えば、元S が3階反変テンソル空間 T3(V) の元である場合は(r=3)、Slmn=bil bjm bkn Sijkとなる(Slmn, Sijk は三次元配列)。


§3

Tsr(V)


p222 相対空間 V、相対基底fi
相対基底の取り換えルールは、V の基底ej=(e1, e2)を、取り換え行列A で、ダッシュ付き基底 ei=(e1, e2)へと取り換える場合に、相対基底fj=(f1f2)を逆行例A1 でダッシュ付き相対基底 fi=(f1f2)に取り換えるというもの。

  • VV とは別の線形空間のまま。
  • ejfj との間の変換法則ではない。


p222 V の基底の取り換えと V の基底の取り換え
V の基底の取り換え(f1f2)=(b11b21b12b22)(f1f2)=(b11f1+b21f2b12f1+b22f2)の右辺が、V の基底の取り換えの右辺と順序が異なる(基底fj が後ろ)のは、縦ベクトル(f1f2) で行列を計算する都合による。

p223 混合テンソル空間 Tsr
反変テンソル空間 T2(V)は、VV}  VV
その基底は、eiej}  eiejである(i, j が1、2の値をとるとき、4個の基底=4次元空間)。

他方で、混合テンソル空間 T11(V)は、VV}  VV
その基底は、eifj}  eifjであり、i, j が1、2の値をとるとき、eifj={e1f1e1f2e2f1e2f2の4個の基底となる(4次元線形空間)。
この各基底は、
  • ei が1つあるので1階反変
  • fj が1つあるので1階共変
であり、混合テンソル空間 T11(V)は、1階反変・1階共変。

p223 反変・共変
反変・共変の言葉の由来は、p234を参照。
T の右上添え字が反変階数、右下添え字が共変階数
T

p224 1階反変・2階共変のテンソル空間 T21(V)=VVV
混合テンソル空間 T21(V)は、VVV}  VVV
その基底は、eifjfk}  eifjfkであり、i, j, k が1、2の値をとるとき、eifjfk={e1f1f1e1f1f2e1f2f1e1f2f2e2f1f1e2f1f2e2f2f1e2f2f2の8個の基底となる(8次元線形空間)。
この各基底は、
  • ei が1つあるので1階反変
  • f が2つあるので2階共変
であり、混合テンソル空間 T21(V)は、1階反変・2階共変。

p224 問題3.09
V の基底が (e1, e2)、その相対基底が (f1f2) のとき、T11(V) の元は、一般には、4つの基底
  • e1f1
  • e1f2
  • e2f1
  • e2f2
から構成される。a e1f1+b e1f2+c e2f1+d e2f2
問題文の元S は、各基底の係数が以下のものである。
  • a=1
  • b=0
  • c=0
  • d=2
同様に、問題文の元T は、各基底の係数が以下のものである。
  • a=3
  • b=0
  • c=0
  • d=0

T1(V) の元についても、同じように、一般には、2つの基底
  • f1
  • f2
から構成される。a f1+b f2問題文の元W は、各基底の係数が以下のものである。
  • a=0
  • b=3
問題文の元Z は、各基底の係数が以下のものである。
  • a=2
  • b=1

p225 各種の Tsr(V)
r=0, s=0 のとき、T00(V) は1次元配列であり、その元(要素)は、Tiというスカラー値である(配列Ti番目の要素)。

r=1, s=0 のとき、T01(V)=V の元(要素)は、Ti ei=T1 e1+T2 e2という2次元ベクトルである(2個の基底が1セットあるで 21=2の基底)。

r=0, s=1 のとき、T10(V)=V の元(要素)は、Ti fi=T1 f1+T2 f2という2次元ベクトルである(2個の基底が1セットあるので 21=2)。

r=1, s=1 のとき、T11(V)=VV の元(要素)は、Tji eifj=T11 e1f1+T21 e1f2+T12 e2f1+T22 e2f2という4次元ベクトルである(2個の基底が2(=1+1)セットあるので 21+1=4)。

r=r, s=s のとき、Tsr(V)=VVVrVVs の元(要素)は、T    k  lsi  jr eiejrfkfls=T1111 e1e1f1f1+T1211 e1e1f1f2                +T2222 e2e2f2f2という右辺に 2r+s 個の項が存在する 2r+s 次元ベクトルである(2個の基底が(r+s)セットあるので 2r+s)。

p225 テンソルの成分 T    k  li  j
テンソルの成分 T    k  lsi  jr は、(r+s)次元配列である。
例えば、T    lm2ijk3 であれば、5次元配列であり、5つの指標で指定される場所(i,j,k,l,m が1または2の数値をとる場合、全部で25=32 の場所がある)に、特定の数値が格納されている。。
以下の例では i j k l m で特定される場所に、特定の数値(例:777)が格納されている。
{1{12{12{1{1277722この数値が、基底のベクトル積にかけられる係数であり、777 e1e2e2f1f2となる。
このような項(係数×基底ベクトル積)が、T23(V)=VVVVV 空間(3階反変・2階共変のテンソル空間)の元(ベクトル、要素)の場合、合計で、25=32 項がベクトルの加算項目として存在する。

p226 T  sr(V) のテンソル積
S jiT  mkl eiekelfjfm
  • 反変部分…成分の上付添え字、基底の下付き添え字(i, k, l
  • 共変部分…成分の下付添え字、基底の上付き添え字(j, m


§4 テンソルの縮約・縮合



p229 縮約
S jiTkeifjfkを添え字i, k で縮約する。
① i=k となる成分を抜き出して和をとると(=添え字をi, ki で統一)、
S jiTieifjfi
② ei, fi を落とし、S jiTifj

p229 S の成分の上添え字とT の成分の下添え字の縮合
問題3.15には、直接には添え字は数値しかないが、縮約記法を用いれば、
  • S=S jieifj
  • T=Tkfk
と添え字部分を文字表記できるので、
  • S の成分の上添え字 …i
  • T の成分の下添え字 …k
と解釈できる。
よって、i, k の縮約を求めればよい。

すなわち、eifjfk のうち、
① i=k となる成分を抜き出して和をとり、
② ei, fk を落とせば良い。

p231 テンソルの縮合による反変次数 r と共変次数 s の変化
2つのテンソルが以下の次数であるとき、
  • (r, s)
  • (r, s)
これらのテンソル積の次数は、p226の定義3.11のとおり、(r+r, s+s)となる。
これを縮約すると、縮約時の選択対象の基底は、e, f であるので(p229)、反変次数と共変次数が共に減少し、(r+r1, s+s1)の次数のテンソルとなる。



§5 成分の書き換え

 T sr(V) の成分の書き換え


p233 a ijb ji とは逆行列
i, j の位置関係が逆になっているのは、これら行列がかけられる対象の基底等 ej, fj の添え字jが、各々、下付き・上付きになっていることに対応するため。(行列Aji 列の要素はa ij であり、同様に、行列Bij 列の要素はb ji であることは縮約記法のとおり)
ここで、基底ej をダッシュ付き基底ei へと取り換える場合、ei=a ijejとあらわされるが(e の下付き添え字ja の上付き添え字j で消去し、a の下付き添え字ie に新たに付加するイメージ)、この両辺に、a ij の逆行例 (a ij)1 を左から乗ずると、a ijb ji とは逆行列なので、(a ij)1ei=(a ij)1a ijejb jiei=ejとなり、ダッシュ付き基底ei を基底ej へと取り換える場合の式が得られる。すなわち、
  • ei=a ijej
  • b jiei=ej
同様にして、相対基底とダッシュ付き相対基底との取り換えについても、以下の式が成立する。
  • fi=b jifj
  • a ijfi=fj

p234 yi=a ijyj
これ以降、相対基底の成分 yj, yi は、x に下付き添え字を用い、xi=a ijxjと表記されている(p237等)。

p234 成分の書き換え(基底、相対基底)
元(ベクトル)を変えないまま、基底を変えると(ejei)、成分も変更を要する(xjxi)。
相対基底の変更(fjfi)についても同様である。(yjyi

基底 ej の取り換え行列 a ij は、相対基底での成分 yj の取り換え行列 a ij と同じである(赤色部分)。このため、相対基底での成分 yj を「共変成分」と呼ぶ。青色は「反変成分」である。

p236 6行目 x12
(x11x12x21x22)=(a 11a 12a 21a 22)(x11x12x21x22)(a 11a 21a 12a 22)=(a 11x11+a 12x21a 11x12+a 12x22)(a 11a 21a 12a 22)=((a 11x11+a 12x21)a 21+(a 11x12+a 12x22)a 22)=(a 11a 21x11+a 21a 12x21+a 11a 22x12+a 12a 22x22)=(a 11a 21x11+a 11a 22x12+a 21a 12x21+a 12a 22x22)=(a 11a 21x11+a 11a 22x12+a 12a 21x21+a 12a 22x22)行列1行目2列は、確かに、式3.06となっている。
他の行列要素も同様。
よって、A=(a 11a 21a 12a 22)=a ijと置くと(j, i は、1または2の値を採る止まった添え字[場合分けして分割])、8行目の式が成立する。

p236 x12=a 1ka2lxkl
k, l は、走る添え字なので、場合分けについて和をとり、x12=a 1ka2lxkl=a 11a2lx1l+a 12a2lx2l=a 11a21x11+a 12a21x21+a 11a22x12+a 12a22x22=a 11a21x11+a 11a22x12+a 12a21x21+a 12a22x22となり、確かに、式3.06と一致する。
他の行列要素も同様。
よって、i, j を止まった添え字[分割]、k, l を走る添え字[和をとる]として、xij=a ika jlxklと縮約表記でまとめることができる。
同式を、i, j について展開すると、xij=(a 1ka 1lxkla 1ka 2lxkla 2ka 1lxkla 2ka 2lxkl)である。

p237 問題3.20 T 11(V) の成分の書き換え
基底の取り換えを、ei=a ijej=a ikekと表記変えすると(jk)、基底変更・相対基底変更・テンソル積基底変更に伴う成分変更は、以下の比較表のとおり。
なお、a ik=a jl であり、b lj=b ki である(i,j,k,l は、いずれも1または2の値をとる縮約記法の止まった添え字。掛ける相手=ek,fl,xk,xl の添え字に対応した文字列を使用したため、a,b の添え字が変更されたに過ぎない)。

p238 T sr(V) の成分の書き換え
線形空間V の基底ei を、ダッシュ付き基底ei に取り換えると、以下の変更も同時に行われる
  • 相対空間V の基底fiを、ダッシュ付き基底fi に取り換え
  • テンソル空間T sr(V) の基底eiejfkfl を、ダッシュ付き基底 eiejfkflに取り換え
  • T sr(V) の成分 S  k  li  j を、ダッシュ付き成分  S   k  l i  j へと書き換え
添え字を、全体で合わせた比較表は、以下のとおりである。


p238 成分S  k  li  j
S  k  li  j は、添え字の個数分の次元からなる配列である。
例えば、S の添え字が以下の i,j の2つである場合には、S  ji=(x 11x 21x 12x 22)=x ji2次元配列にかかる4つの要素を指す。
これのダッシュ付き基底変換後の成分S  j i は、S  j i=b kia jlS lkである。
Sの添え字がi,j からk,l へと変更されているのは、同じ式に属する S の添え字と区別し、かつ、b,a の各添え字に対応させたためである。S 自体は同じ(22=)4要素からなる配列 S ji=S lk である。
添え字i,j は止まった添え字[分割]、添え字k,l は走る添え字[和をとる]なので、S ji は、実際には以下のような数値要素で構成されている。
S  ji=(b k1a 1lSlkb k1a 2lSlkb k2a 1lSlkb k2a 2lSlk)=(b 11a11S 11+b 11a12S 21+b 21a11S 12+b 21a12S 22)

添え字が以下の i,j,k の3つである場合には、行列(2次元)では表記できないが、3次元配列であり、S  jki=x jki=(xjk1xjk2)={x111x121x211x221x112x122x212x222を表している(23= 8要素)。
これのダッシュ付き基底変換後の成分S  jk i は、S  jk i=b lia jma knS mnlである(Sの添え字がi,j,k からl,m,n へと変更されているのは、同じ式に属する S の添え字と区別し、かつ、b,a の各添え字に対応させたためである。S 自体は同じ(23=)8要素からなる配列 S jki=S mnl である)。



§6 成分の書き換えとテンソルの演算 



p240 テンソルの演算

  • 和: S+T
  • スカラー積: λS
  • テンソル積: ST
  • 縮約: S kijeiejfkS jijei
  • 縮合: ST 縮約

p241 S nlm=b ilb jmankS kij
定理3.21より。

p241 末尾9~8行目
基底eiと相対基底ejの関係(p238)より
ei=b ijej
同じ添え字は、一括して他の添え字に代えても構わないので、
  • ei=b ilel
  • ej=b jmem
としたうえ、式変形に用いている。

p242 問題3.23 T 11(V) の元 S
T 11(V) の元は、一般には、4つの基底から構成される。a e1f1+b e1f2+c e2f1+d e2f2
問題文の元S は、基底の係数 b=1 で、他の係数が、 a,c,d=0 のものである。

p242 6行目 中略箇所
同箇所の第1項を展開すると(ベクトルの上矢印を省略)、(2e1e2)(f1+2f2)(2f1+3f2)=  2e1f12f1+2e1f13f2+2e12f22f1+2e12f23f2e2f12f1e2f13f2e22f22f1e22f23f2
また、同箇所の第2項を展開すると、2(2e1e2)(f1+2f2)(f1+2f2)=4e1f1f14e1f12f24e12f2f14e12f22f2+2e2f1f1+2e2f12f2+2e22f2f1+2e22f22f2
両項を合計すると、以下の成分の係数は、いずれも0となるので、
  • e1f1f1
  • e1f2f1
  • e2f1f1
  • e2f2f1
残余の成分をまとめることで、7行目の式が得られる。

p248 6行目
b jma mk=δ jkの変形箇所は、変換行列A,B が互いに逆行列であるため、p121の a kib jk=δ ji を用いた。

また、δ jkS  kij=S  jijの変形箇所は、以下の通り、場合分けをした検討結果による。
すなわち、j=1 のときは、δ 1kS  ki1=δ 11S  1i1+δ 12S  2i1=1S  1i1+0S  2i1=S  1i1他方で、j=2 のときは、δ 2kS  ki2=δ 21S  1i2+δ 22S  2i2=0S  1i2+1S  2i2=S  2i2よって、両場合をまとめると、δ jkS  kij=S  jijが確認できた。

p248 A=(a ji) が直交行列のときは、tAA=E
未証明。

p248 「この本では、直交基底でない場合の変換則を考える」
後述の p295 では、正規直交基底の場合の、tAA=E を前提とする説明あり。

p249 相対性原理
異なる観測者(相対的)であっても、テンソル方程式による物理法則は同じ記述式となる。