一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する(第1章 数学の準備)

石井俊全「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」ベレ出版
の読後の行間補充メモ

(→正誤表
(→事項索引



§1 ベクトル積 



p21 a×a
a×a=(abc)×(abc)=(bccbcaacabba)=(000)
p21 直交性
a,bのなす角度をθとすると、両ベクトルの内積が0のとき、
ab=0|a||b|cosθ=0cosθ=0θ=π2
p23 exc
exc=(100)(cxcycz)=1×cx+0×cy+0×cz =cx
p23 ex×b
exb=(100)×(bxbybz)=(0×bz0×by0×bx1×bz1×by0×bx)=(0bzby)



§2 微分の方程式 



p26~p27 (a(t)×b(t))x 成分(1行目成分の趣旨)
(a(t)×b(t))=((x(t)y(t)z(t))×(α(t)β(t)γ(t)))=(y(t)γ(t)z(t)β(t))=((y(t)γ(t)z(t)β(t)))=((y(t)γ(t))(z(t)β(t)))これは、同頁3行目のように、a(t)×b(t)+a(t)×b(t) の1行目成分と一致する。

p28 cos2t sint+2sint の微分
ddt(cos2t sint+2sint)=ddt(cos2t sint)+2ddtsint=ddt(cos2t)sint+cos2tddtsint+2ddtsintここで、ddtcos2t=ddt(costcost)=ddt(cost)cost+costddtcost=2costddtcost=2cost(sint)なので、与式は、=2cost(sint)sint+cos2t cost+2costとなる。



§3 3次元の座標変換 



p31 OP
xyz座標における点Pの座標値が(x,y,z) であるとき、OP を同座標で表わすと、
OP=x(100)+y(010)+z(001)
他方、OP(x,y,z)座標で表わすと、
OP=x(a1a2a3)+y(b1b2b3)+z(c1c2c3)=(a1x+b1y+c1za2x+b2y+c2za3x+b3y+c3z)=(a1b1c1a2b2c2a3b3c3)(xyz)

p33 直交変換と内積保存
a, b の内積は、(a1a2a3)(b1b2b3)=a1b1+a2b2+a3b3a の転置行列 tab の積は、(a1a2a3)(b1b2b3)=a1b1+a2b2+a3b3

p33 ベクトルa の大きさ
aどうしのなす角度は0度であるから、aどうしの内積は、aa=|a||a|cosθ=|a|2cos0=|a|2よって、ベクトルの大きさは、|a|=aaとして内積の平方根で表わされる。



§4 スカラー場、ベクトル場のイメージ 



p35 速度ベクトル
V=(VxVyVz)=(Vx(x,y,z)Vy(x,y,z)Vz(x,y,z))

例えば、Vx は、x 軸方向の速さ [ms] を示す。
その値が、座標 (x,y,z )によって異なるので、Vx は、3変数x,y,z の関数である。
y,z 軸の方向の速さ Vy, Vz についても、同様。


§5 勾配 



p36 f(x,y,z)=excos(yz) の勾配
gradf=(fxfyfz)この行列の1行目は、
fx=xexcos(yz)=cos(yz)xex=cos(yz) ex行列の2行目は、
fy=yexcos(yz)=exycos(yz)=ex(yz)cos(yz) y(yz)=ex(sin(yz))z行列の3行目は、
fz=zexcos(yz)=exzcos(yz)=ex(yz)cos(yz) z(yz)=ex(sin(yz))yしたがって、行列全体は、gradf=(excos(yz)zexsin(yz)yexsin(yz))

p40 grad の性質
与式を、2つのベクトル(fxfy)及び
(cosθsinθ)
の内積と捉えて式変形をすると、両ベクトルのなす角は、θαであるから、
fxcosθ+fysinθ=(fxfy)(cosθsinθ)=|(fxfy)||(cosθsinθ)|cos(θα)となる。ここで、p39 の式
|(cosθsinθ)|=1を用いると、与式は、
=|(fxfy)|cos(θα)=|gradf|cos(θα)となるので、θα=0 のときに最大値|gradf| をとる。



§6 発散 



p41 divA(x)
ナブラ を、以下のように捉えると、
=(xyz)
発散は、ナブラ とベクトルA(x) の内積として把握される。


§7 回転 



p55 転置行列
一般に、行列A, Bに対して公式t(AB)=tB tAが成り立つ。2行2列行列の場合として、A=(abcd)B=(efgh)を考えると、公式の左辺は、t(AB)=t((abcd)(efgh))=t(ae+bgaf+bhce+dgcf+dh)=(ae+bgce+dgaf+bhcf+dh)となり、公式の右辺は、tB tA=t(efgh) t(abcd)=(egfh)(acbd)=(ea+gbec+gdfa+hbfc+hd)となり、確かに、左辺と右辺が等しい。

p55 tP
t(UP tU)=t(tU) t(UP)=t(tU) tP tU=U tP tU



§8 勾配、発散、回転の公式  



p64 ラプラシアン
本書での記号は、Δ
他の表現としては、2



§9 ポテンシャル 



p65  g(x,y,z)x
g(x,y,z)=axAx(t,y,z)dt+byAy(a,t,z)dt+czAz(a,b,t)dtは、第1項がxの関数となり、第2項及び第3項はxとの関係では定数であるから、Ax(t,y,z)の原始関数をAtとすると、
 g(x,y,z)x=xaxAx(t,y,z)dt=x[At]ax=x([At]x[At]a)=x[At]x=Ax(x,y,z)



§10 スカラー場の線積分 



p69 曲線の弧長
三平方の定理より、微小三角形の各辺ds,dx,dyについて、ds2=dx2+dy2ds=dx2+dy2dsdt=dx2+dy2dt2=(dxdt)2+(dydt)2の関係が成立するから、この両辺をtで積分すると、(dsdt) dt=(dxdt)2+(dydt)2 dts=(dxdt)2+(dydt)2 dtとなり、パラメータtαからβへと変化させた場合の曲線の弧長は、この定積分として、以下のようになる。s=αβ(dxdt)2+(dydt)2 dt

p70 sin3θの微分
ddθsin3θ=ddsinθsin3θ ddθsinθ=3sin2θ cosθ



§11 ベクトル場の線積分 



p71 曲線C
三次元上の曲線C=(fgh)を想定。



§12 曲面の面積 



p79 T(θ, φ) の偏微分
θT(θ, φ)=θ(rsinθ cosφrsinθsinφrcosθ)=(rcosθ cosφrcosθ sinφrsinθ)同様に、φT(θ, φ)=φ(rsinθ cosφrsinθsinφrcosθ)=(rsinθ sinφrcosθ cosφ0)

p83 3~4行目
(cosθcosφ)(sinθcosφ)(sinθsinφ)(cosθsinφ)=cosθsinθcos2φ+sinθcosθsin2φ=cosθsinθ(cos2φ+sin2φ)=cosθsinθ

p83 末尾行
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
において、α=β=θとなるθを考えると、
sin2θ=2sinθcosθ12sin2θ=sinθcosθなので、p83 末尾行の前半括弧部分は、0π2cosθsinθ dθ=0π212sin2θ dθ=120π2sin2θ dθとなる。ここで、sin2θの原始関数を考えるに、 ddθcos2θ=dd(2θ)cos2θ×ddθ2θ=(sin2θ)×212cos2θ=sin2θであるから、与式(p83 末尾行の前半括弧部分)は、以下のようになる。=12[12cos2θ]0π2=14[cos2θ]0π2=14(cosπcos0)=14(11)=12



§13 ベクトル場の面積分 



p84 ベクトル場の面積分


p86 1~2行目 sin2t
cos(α+β)=cosαcosβsinαsinβにおいて、α=β=tとなるtを考えると、cos2t=cos2tsin2t=cos2t+sin2t2sin2t=12sin2t2sin2t=1cos2tsin2t=12(1cos2t)

p86 2~3行目 cos2t の積分
ddtsin2t=dd(2t)sin2t×ddt2t=cos2t×2よって、02πcos2t=[12sin2t]02π=12(sin4πsin0)=12(00)=0

p86 rotF(x)
rotF(x)=(FzyFyz)=(y(y+z2)z(xz))=(1x)

p87 02πcosφ dφ=0
02πcosφ dφ=[sinφ]02π=sin2πsin0=00=0

p87 02πcos2φ dφ
cos(α+β)=cosαcosβsinαsinβにおいて、α=β=tとなるtを考えると、cos2t=cos2tsin2t=cos2t(1cos2t)=2cos2t1cos2t+1=2cos2t12(cos2t+1)=cos2tよって、02πcos2φ dφ=02π12(1+cos2φ) dφ=12[φ+12sin2φ]02π=12(2π+12sin4π(0+12sin0))=12(2π+0(0+0))=π

p87 S2rotFn2 dS
0π2{πsin2θ+2π(cos2θcosθ)}sinθ dθにおいて、πsin2θ+2π(cos2θcosθ)=πsin2θ+2πcos2θ2πcosθ=π(1cos2θ)+2πcos2θ2πcosθ=π+πcos2θ+2πcos2θ2πcosθ=3πcos2θ2πcosθπであるので、与式は、=0π2(3πcos2θ2πcosθπ)sinθ dθとなる。ここで、置換積分をするため、t=cosθとおくと、ddθt=ddθcosθ=sinθdt=sinθ dθであり、また、θ:0π2のとき、t:10と変化するから、与式は、以下のように解を得られる。=10(3πt22πtπ) dt=π10(3t22t1) dt=π[t3t2t]10=π{000(13121)}=πなお、明示の置換積分をしない場合でも、sinθ=d cosθdθであることから、与式は、以下のように変形して、同じ解を得られる。=0π2(3πcos2θ2πcosθπ)d cosθdθdθ=πcos0cosπ2(3cos2θ2cosθ1) d cosθ=π[cos3θcos2θcosθ]cos0cosπ2=π{03020(13121)}=π

p89 法線ベクトル
右手系の座標系において、直角三角形C を反時計回りに回る場合を考えるので、法線ベクトルの定義より、n=(001)
p89 rotAn
rotAn=(AyxAxy)(001)=AyxAxy
p90 三角形EFG, EGH, EFH
C1=EFGD+=GEC2=GHED=EG

p91 面積分dS、体積分dV
SdS=du dvVdV=dx dy dz

p93 領域Vの境界S
領域S1y軸方向から見た接線ベクトルは、S1x=(xxyx f(x,y)x)=(10fx)同様に、x軸方向から見た接線ベクトルは、S2y=(xyyy g(x,y)y)=(01fy)よって、両接線ベクトルの外積は、S1x×S2y=(10fx)×(01fy)=(0×fyfx×1fx×01×fy1×10×0)=(fxfy1)となる。右手系の座標系において、この外積の方向は、p21 のとおり両接線ベクトルに直交し、かつ、右ねじの進む方向であるので、法線ベクトルn1 の方向と同じである。

p93 T
x, y の二重積分を、Tと表記している。

p94 divA=0のとき面積分は一定
divA=0のとき、これを閉空間で積算しても、0 であるから、VdivA dV=0が成立する。ガウスの発散定理より、SAn dS=VdivA dVが成立するので、SAn dS=0となる。ここで、左辺を、閉曲線Cで上下に分割すると、S1An1 dS+S2An2 dS=0S1An1 dS=S2An2 dSS1An1 dS=S2An2 dSとなり、上下の曲面にかかる面積分は、値が等しい。



§14 逆2乗法則についての計算 



p95 xa
ここで、xa=(xyz)(abc)=(xaybzc)
であるので、|xa|=(xa)2+(yb)2+(zc)2={(xa)2+(yb)2+(zc)2}12である。よって、
A(x)=xa|xa|3=(xa{(xa)2+(yb)2+(zc)2}32yb{(xa)2+(yb)2+(zc)2}32zc{(xa)2+(yb)2+(zc)2}32)となる。

p96 Axxによる偏微分
h(x)(xa)2+(yb)2+(zc)2と置くと、Ax=(xa)(1(xa)2+(yb)2+(zc)2)32=(xa)(1h(x))32の微分Axxは、関数の積の微分公式(p26)(fg)=fg+fgを用いて、以下のように変形できる。Axx=x((xa)(1h(x))32)= (xa)x(1h(x))32+(xa)x(1h(x))32=1(1h(x))32+(xa)x(1h(x))32ここで、右辺第2項の偏微分の部分は、x(1h(x))32=xh(x)×(h(x))(1h(x))32=x{(xa)2+(yb)2+(zc)2}×(h(x))h(x)32=x(x22ax+)×32h(x)321=(2x2a)×32h(x)52=2(xa)×321h(x)52=321h(x)522(xa)となるので、Axxは、以下のとおり整理できる。Axx=1×1h(x)32+(xa)(32)1h(x)522(xa)=h(x)h(x)×h(x)323(xa)2h(x)52=h(x)h(x)523(xa)2h(x)52

p96 divA(x)=0
上述のとおり、h(x)(xa)2+(yb)2+(zc)2と置くと、Axx=h(x)h(x)523(xa)2h(x)52と整理できる。h(x)は、xa, yb, zc に関して同じ形をしているので、H(xa)2+(yb)2+(zc)2と置くと、以下のように整理できる。
Axx=HH523(xa)2H52Ayy=HH523(yb)2H52Azz=HH523(zc)2H52これらの3式を合計すると、Axx+Ayy+Azz=3HH523(xa)2+(yb)2+(zc)2H52divA(x)=3HH523HH52=0となる。

p96 Azyによる偏微分
H(xa)2+(yb)2+(zc)2と置くと、Az=(zc)(1(xa)2+(yb)2+(zc)2)32=(zc)(1H)32の微分Azyは、(zc)y との関係では定数であるから、以下のようになる。Azy=y((zc)(1H)32)=(zc)y(1H)32ここで、偏微分の部分は、y(1H)32=yH×H(1H)32=y{(xa)2+(yb)2+(zc)2}×HH32=y(y22by+)×32H321=(2y2b)×32H52=2(yb)×321H52=321H522(yb)=3(yb)H52となるので、Azyは、以下のとおり整理できる。Azy=(zc)×3(yb)H52=3(zc)(yb)H52

p96 rotA(x)=0
H(xa)2+(yb)2+(zc)2は、xa, yb, zc に関して同じ形をしているので、Azy=3(zc)(yb)H52Ayz=3(yb)(zc)H52上式から下式を引くと、AzyAyz=3(zc)(yb)H52+3(zc)(yb)H52=0同様にして、AxzAzx=0AyxAxy=0これら3式をまとめると、(AzyAyzAxzAzxAyxAxy)=0rotA(x)=0

p97 fx
H(xa)2+(yb)2+(zc)2とおくと、fx=x(1{(xa)2+(yb)2+(zc)2}12)=x1H12=xH×H1H12=x{(xa)2+(yb)2+(zc)2}×HH12=x(x22ax+)×(12)H121=(2x2a)×(12)H32=(xa)H32=(xa)H32=(xa){(xa)2+(yb)2+(zc)2}32と変形できる。
そして、A(x)x 成分 Ax は、Ax=xa{(xa)2+(yb)2+(zc)2}なので、fx=Axである。

p97 gradf(x)=A(x)
fx=Axと同様の計算で、fy=Ay fz=Azが言えるので、これら3式をまとめると、(fxfyfz)=(AxAyAz)gradf(x)=A(x)

p97 Δf(x)=0
ラプラシアン Δ の定義(p61)より、Δf(x)=div gradf(x) また、上述のとおり、gradf(x)=A(x)であるから、Δf(x)=divA(x)となる。ここで、上述(p96)のとおり、divA(x)=0であるので、Δf(x)=0が成立する。

p97 F(x) の面積分(Da を含むとき)

S 上の x では、|xa|=r なので、F(x)n(x)=1r2
半径rの球の表面積は、4πr2 なので、1r2SdS=1r24πr2=4π

p98 F(x) の面積分(Da を含まないとき)
ガウスの発散定理(公式1.33(91頁))より、SF(x)n(x) dS=DdivF(x) dVここで、右辺の被積分部分は、公式1.35(95頁)より、divF(x)=0である。よって、その領域D 内の体積分の値DdivF(x) dVも、0である。



§15 波動方程式 



p99 末尾2行目 二変数関数の偏微分
xy=y{ 12(y+z)}=12同様に、ty=y{ 12c(yz)}=12c

p100~101 yzϕ(x,t)=0の積分
ϕ(x,t)=h(z)dz+f(y)z で偏微分すると、f(y)は、zとの関係では定数であるから、zϕ(x,t)=h(z)これを更にy で偏微分すると、h(z)は、yとの関係では定数であるから、yzϕ(x,t)=0となっている。同式を、y で積分すると、右辺は定数とは限らず、y との関係で定数となるような関数 h(z) も含まれる。h(z) の特殊形のひとつが定数であるので、一般に、h(z) で積分後の右辺を表記できる。

p101 y=g(xct)
同式のy は縦軸の趣旨。
p99 で変数変換をした y とは無関係。

p102 ϕ(x,t)x 二階微分
u=kxct+αとおくと、
2x2ϕ(x,t)=2x2{Csin(kxct+α)}=2x2(Csinu)=Cxxsinu=Cx(xu×usinu)=Cx(xu×cosu)ここで、xu=x(kxct+α)=x(kx)=x{(kxkykz)(xyz)}=x(kxx+kyy+kzz)=kxなので、与式は、2x2ϕ(x,t)=Cx(kx cosu)=kxCxcosu=kxCxu×ucosu=kxCxu×(sinu)=kxCkx×(sinu)=kx2Csinu=kx2Csin(kxct+α)=kx2ϕ(x,t)となる。
同様に、ϕ(x,t)y 二階微分、ϕ(x,t)z 二階微分も、以下のようになる。2y2ϕ(x,t)=ky2ϕ(x,t)2z2ϕ(x,t)=kz2ϕ(x,t)

p102 ϕ(x,t)t 二階微分
u=kxct+αとおくと、
2t2ϕ(x,t)=2t2{Csin(kxct+α)}=2t2(Csinu)=Cttsinu=Ct(tu×usinu)=Ct(tu×cosu)ここで、tu=t(kxct+α)=t(ct)=cなので、与式は、2t2ϕ(x,t)=Ct(c cosu)=cCtcosu=cCtu×ucosu=cCtu×(sinu)=cC(c)×(sinu)=c2Csinu=c2Csin(kxct+α)=c2ϕ(x,t)となる。

p102~p103 kx
図形的には、kx=|k||x|cosθ=1|x|cosθ=|x|cosθなので、xk 軸への影。




§16 ポアソン方程式 



p104 R3
R2 は平面であり、R3は空間を指す。

p106 1|yx|1αx1 偏微分
u=|yx|とおくと、x1(1|yx|1α)=x1(1u1α)=x1uα1=x1u×uuα1=x1|yx|×(α1)uα2=x1|(y1x1y2x2y3x3)|×(α1)1u2α=x1(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2×(α1)1|yx|2αとなるところ、このうち、前半部分(x1 による偏微分の箇所)は、ルートの中をv と置いて整理すると、以下のようになるので、x1v=x1v×vv12=x1{(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2}×12v12=x1(y122y1x1+x12+)×121v12=(2y1+2x1)×121v=(y1+x1)1(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2=(y1+x1)1|(y1x1y2x2y3x3)|=(y1+x1)1|yx|与式は、x1(1|yx|1α)=(y1+x1)1|yx|×(α1)1|yx|2α=(y1+x1)(α1)1|yx|3α=(1α)(y1x1)1|yx|3αとなる。

p106 1|yx|1αx1 2階偏微分
1階偏微分の結果を用いると、2x12(1|yx|1α)=x1{x1(1|yx|1α)}=x1{(1α)(y1x1)1|yx|3α}=(1α)x1{(y1x1)1|yx|3α}である。ここで、u=|yx|とおくと、上記式の(1α)より右側は、x1{(y1x1)1|yx|3α}=x1{(y1x1)1u3α}=(y1x1)x11u3α+1u3αx1(y1x1)=(y1x1)x11u3α+1u3α(1)となるところ、同式におけるx11u3α 部分は、以下のようになるので、x11u3α=x1u×uuα3=x1|yx|×(α3)uα4=x1(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2×(α3)1u4α=(y1+x1)1|yx|×(α3)1u4α=(y1+x1)1u×(α3)1u4α=(3α)(y1x1)1u5α結局、与式は、2x12(1|yx|1α)=(1α){(y1x1)(3α)(y1x1)1u5α1u3α}=(1α){(3α)(y1x1)21u5αu2u5α}=(1α)1u5α{(3α)(y1x1)2u2}=(1α)1|yx|5α{(3α)(y1x1)2|yx|2}となる。

p106 ラプラシアンΔ
ラプラシアンΔ の定義(p58)より、
Δ(1|yx|1α)=2x2(1|yx|1α)+2y2(1|yx|1α)+2z2(1|yx|1α)=(1α)1|yx|5α{(3α)(y1x1)2|yx|2}+(1α)1|yx|5α{(3α)(y2x2)2|yx|2}+(1α)1|yx|5α{(3α)(y3x3)2|yx|2}=(1α)1|yx|5α{(3α){(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2}3|yx|2}=(1α)1|yx|5α{(3α)|(y1x1y2x2y3x3)|23|yx|2}=(1α)1|yx|5α{(3α)|yx|23|yx|2}=(1α)|yx|2|yx|5α(3α3)=α(1α)1|yx|3α

p107 微小立体図形の体積
半径r の微小変化をdr と表現すると、AB=dr弧度法では半径rとラジアン角をかけたものが円弧の長さなので、角度θ の微小変化をdθと表現するとAC=r dθ三角形OAEにおいて、AE=OA sinθ=r sinθなので、半径EA の円において微小角度dφ に対応する円弧AD の長さは、AD=AE dφ=r sinθ dφとなる。
よって、微小立体図形の体積は、これを直方体と考えて、AB×AC×AD=dr×r dθ×r sinθ dφ=r2 sinθ dr dθ dφ

p107 球座標と直交座標
微小立体図形でVi 内の全領域を埋め尽くすことを考えると、球座標(r, θ, φ) を各々r:0εθ0πφ02πの範囲内で動かして、微小立体図形の個別体積r2 sinθ dr dθ dφを足し上げていけば、Vi の体積となる。すなわち、Vi の体積は、球座標r, θ, φ を用いて、Vi r2 sinθ dr dθ dφ=02π0π0εr2 sinθ dr dθ dφ=(0εr2 dr)(0πsinθ dθ)(02π1 dφ)と表される(1行目[重積分]を2行目[1変数積分の積]のように変形し得ることにつき高校数学の美しい物語「重積分の計算方法と例題3題」参照)。

これは、直交座標(y1, y2, y3) による体積分Vi 1 dyと等しい筈であるから、Vi 1 dy=02π0π0εr2 sinθ dr dθ dφとし得る。

p107 Δ1|yx|1α の符号
p106 で求めたとおり、Δ1|yx|1α=(1α)α1|yx|3αp105 のとおり、α は、α>0であり、α+0を考えるので、与式は、(1α)α1|yx|3α1(+0)1||3となり、全体の符号は負となる。

p107 左辺
14πViMΔ1|yx|1αdy=M14πViΔ1|yx|1αdy=M{(1α)εα}=M(1α)εαここで、α+0を考えると、与式は、M(1α)εαM×1×1=M

p107~108 ε0
p104 のとおり、Vi は、x を中心とした半径ε の球であるから、ε0のとき、Vi :|yx|0となり、球体 Vi は小さくなる。
このとき、yxとなっているから、f(y)f(x)となる。
p107 のとおり、Vi でのf(y) の最小値をm、最大値をMとしているので、mf(y)Mすなわち、ε0のとき、mf(x)MMf(x)mが成立する。
この式とp107末尾2行目の式Mlimα+014πVif(y)Δ(1|yx|1α)dymとを比較すると、ε0のとき、Mmとなることから、limα+014πVif(y)Δ(1|yx|1α)dy=f(x)が成立している。

p108 波動方程式
(Δ1c22t2)ϕ(x,t)=f(x,t)の左辺にある演算子は、p203 のダランベルシアン=Δ1c22t2

p109 Ve 領域
領域V の外側 Ve(f(x,t)=0)では、
yx
であるので、式1.18の第2項の分母
|yx|
は、0とならず、第2項は非積分関数が発散しない。

p109 |yx|cx1 偏微分
x1|yx|c=1cx1{(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2}12=1cx1u×uu12=1cx1(y122x1y1+x12+)×12u12=1c(2y1+2x1)×121u12=x1y1cu12=x1y1c{(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2}12=x1y1c|yx|
*上付き文字x1, y1等は、下付き文字x1, y1等で表記した。
*計算過程で、u=(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2とおいた。
|yx|=|(y1x1y2x2y3x3)|=(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2=u を用いた。

p109 式1.20赤字注 1c|yx|x1微分
x11c|yx|=1cx11|yx|=1cx1u×u1u=1cx1(y122x1y1+x12)×uu12=1c(2y1+2x1)×12u32=122cx1y1u32=1cx1y1u3=1cx1y1|yx|3

p109 式1.21 t+|yx|cx1 微分
t は、x1 との関係では定数であること、及び式1.19の結果から、
x1(t+|yx|c)=x1(|yx|c)=x1y1c|yx|

p110 式1.22 1~2行目
式1.21の結果から、2x12f(y,t+|yx|c)=x1{x1f(y,t+|yx|c)}=x1{uf(y,u)x1y1c|yx|}となり、これに、p26の関数の積の微分(fg)=fg+fgを適用すると、p110 の2行目の式となる。

p110 式1.22 2~3行目
2行目第1項は、以下のとおり変形し(微分の順序を入れ替えて、式1.21の結果を適用)、3行目第1項となる。
x1(uf(y,u))x1y1c|yx|=u(x1f(y,u))x1y1c|yx|=u{uf(y,u)x1y1c|yx|}x1y1c|yx|=2u2f(y,u)(x1y1c|yx|)2

p110 fg の2階微分
(fg)=((fg))=(fg+fg)=(fg)+(fg)=(fg+fg)+(fg+fg)=fg+2fg+fg

p110 赤字部分(公式1.35の gradf を計算するときの要領)
x11|yx|=x1u×u1u=x1{(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2}×uu12=x1(y122x1y1+x12+)×(12)u32=(2y1+2x1)×(12)1u32=(y1x1)1|yx|2×32=(x1y1)1|yx|3=x1y1|yx|3

|yx|=|(y1x1y2x2y3x3)|=(y1x1)2+(y2x2)2+(y3x3)2=u を用いた。

p110 最終行第2項への式変形
uf(y,u)|yx|2(x1y1)2c|yx|4+2uf(y,u)x1y1c|yx|(x1y1|yx|3)=uf(y,u)|yx|2(x1y1)2c|yx|42uf(y,u)(x1y1)2c|yx|4=uf(y,u)|yx|2(x1y1)22(x1y1)2c|yx|4=uf(y,u)|yx|23(x1y1)2c|yx|4

p111 式1.18の第2項
式1.18の第2項の被積分関数(Δ1c22t2)(f(y,t+|yx|c)|yx|)について考える。109頁のとおり、u=t+|yx|cと表記することにすると、与式は、ラプラシアンΔの定義に従い、以下のような内容となる。(Δ1c22t2)(f(y,u)|yx|)=(2x12+2x22+2x321c22t2)(f(y,u)|yx|)ここで、2x12 にかかる展開結果は、以下のとおりである(110頁の末尾)。
=2u2f(y,u)(x1y1)2c2|yx|3+uf(y,u)|yx|23(x1y1)2c|yx|4+f(y,u)2x121|yx|同様に、2x22 にかかる展開結果は、=2u2f(y,u)(x2y2)2c2|yx|3+uf(y,u)|yx|23(x2y2)2c|yx|4+f(y,u)2x221|yx|となり、同様に、2x32 にかかる展開結果は、=2u2f(y,u)(x3y3)2c2|yx|3+uf(y,u)|yx|23(x3y3)2c|yx|4+f(y,u)2x321|yx|となる。一方、1c22t2にかかる展開結果は、以下のようになる。1c22t2f(y,u)|yx|=1c2|yx|2t2f(y,u)=1c2|yx|t(tf(y,u))=1c2|yx|t(tu×uf(y,u))=1c2|yx|t(t(t+|yx|c)×uf(y,u))=1c2|yx|t(1×uf(y,u))=1c2|yx|t(uf(y,u))=1c2|yx|uut(uf(y,u))=1c2|yx|u1(uf(y,u))=1c2|yx|u2f(y,u)

p112 1~2行目
積分される 1|yx|1α には、t が含まれていないので、その定積分には、1c22t2 は反映されない(定積分の計算で、同じ値が+と-されるため)。

波動方程式の特殊解(証明)の全体枠組み図解について、「ポアソン方程式(Poisson's equation)と波動方程式(wave equation)」2(2)

p112 3行目
定理1.39と同じ論法=p107~108 の最少値と最大値の挟み込みの無限収縮。



§17 変分法 



p115 微分と積分の順序の交換
p19 のとおり、微分と積分の順序は常に交換可能とする前提。

p115 0Tdx
0Tdx内にある関数F(x, y, y)は、3つの変数{xy=u(x)+εp(x)y=u(x)+εp(x)からなる3変数関数であるが、2変数 y, yε の関数であることから、ε によるF(x, y, y) の偏微分は、2変数関数の合成関数の微分の公式dfdt=fxxt+fyytを用いて(同公式の証明についてKIT数学ナビゲーション)、以下のようになる(F の括弧内表記は省略)。εF(x, y, y)=dεF=ydεyF+yεyFここで、yε=ε{u(x)+εp(x)}=p(x)であり、yε=ε{u(x)+εp(x)}=p(x)であるから、上記Fε による偏微分は、εF=p(x)yF+p(x)yFとなる。
よって、これを x=0T の範囲で定積分したものは、=0T(p(x)yF+p(x)yF) dx=0T(Fyp(x)+Fyp(x)) dxである。

p115 部分積分
(uv)=uv+uv{(uv)}=(uv)+(uv)[uv]=(uv)+(uv)[uv](uv)=(uv)
ここでの部分積分は、{u=p(x)v=Fyとして式変形をしている。

p116 汎関数V(y) が極値を採るときのy
汎関数 V が極値をとるときの yu(x) と置いているので(p114)、V(y) は、V(u(x)) のときにε に対する変化率dVdε0 となる。すなわち、p116 の第1行目 の右辺で ε=0 としたものが、0となる。p(x) は任意の式なので、0T の被積分関数にε=0 としたものが、0である必要がある。

p117 ddxFy
ddxFy=ddxyF=ddxy(12xy+(y)2)ここで、12xy は、y による偏微分との関係では定数であるので、与式は、ddxFy=ddx(2y)=d2dx2(2y)=2y

p117 Fy
Fy=yF=y(12xy+(y)2)ここで、(y)2 は、y による偏微分との関係では定数であるので、与式は、Fy=12x



§18 アインシュタインの縮約記法 



p119 アインシュタインの縮約記法
  • 走る添え字 …変化させたものを合計する(一つの式)。
  • 止まっている添え字 …場合分けをする(複数の式)。
aijk bj cmnkの場合、走る添え字(j, k)の組合せは、添え字の変化幅が、p118のとおり2種類(1または2)の場合、以下の4(=22)通り。


止まっている添え字 i, m, n の組合せは、添え字の変化幅が、p118のとおり2種類(1または2)の場合、以下の8(=23)通り。

以上を踏まえると、aijk bj cmnk=ai1k b1 cmnk+ai2k b2 cmnk=ai11 b1 cmn1+ai12 b1 cmn2+ai21 b2 cmn1+ai22 b2 cmn2={a111 b1 cmn1+a112 b1 cmn2+a121 b2 cmn1+a122 b2 cmn2a211 b1 cmn1+a212 b1 cmn2+a221 b2 cmn1+a222 b2 cmn2={a111 b1 c1n1+a112 b1 c1n2+a121 b2 c1n1+a122 b2 c1n2a111 b1 c2n1+a112 b1 c2n2+a121 b2 c2n1+a122 b2 c2n2a211 b1 c1n1+a212 b1 c1n2+a221 b2 c1n1+a222 b2 c1n2a211 b1 c2n1+a212 b1 c2n2+a221 b2 c2n1+a222 b2 c2n2={a111 b1 c111+a112 b1 c112+a121 b2 c111+a122 b2 c112a111 b1 c121+a112 b1 c122+a121 b2 c121+a122 b2 c122a111 b1 c211+a112 b1 c212+a121 b2 c211+a122 b2 c212a111 b1 c221+a112 b1 c222+a121 b2 c221+a122 b2 c222a211 b1 c111+a212 b1 c112+a221 b2 c111+a222 b2 c112a211 b1 c121+a212 b1 c122+a221 b2 c121+a222 b2 c122a211 b1 c211+a212 b1 c212+a221 b2 c211+a222 b2 c212a211 b1 c221+a212 b1 c222+a221 b2 c221+a222 b2 c222となる(走る添え字に関し1行目でj、2行目でkについて場合わけをして合計。止まっている添え字に関し3行目でi、4行目でm、最終行でnについて場合わけをして式を分けた)。

p120 縮約記法と行列
成分 aji は、行列のi 行目のj 列目の成分。すなわち、
a

p121 (i, j) 成分(i行目のj列目の成分)がδji である行列は単位行列
例えば、3行×3列の場合、(δ11δ21δ31δ12δ22δ32δ13δ23δ33)=(100010001)=E