一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する(第2章 物理の準備)

 石井俊全「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」ベレ出版 の読後行間補充メモ

(→ 正誤表
(→ 事項索引



§1 ニュートンの重力場方程式 



p126 質点 AiB

p126 ニュートンの重力ポテンシャル ϕ(x)

質量密度 ρ[kgm3] に体積 [m3] を乗じたものは、質量 [kg]

質量密度が位置 y によって異なる場合、質量密度は、y の変数としてρ(y) と表される。この ρ(x) と各位置における微小体積と乗じたものを V 内で合計したものは、領域 V 内の合計質量Vρ(y) dyとなる。


p127 重力ポテンシャル ϕ(x)

位置 x における単位質量あたりの重力による位置エネルギー。

単位は、 [Jkg]=[Nmkg]=[kgms2mkg]=[m2s2]


p127 grad1|yx|

勾配 grad の定義(p36)より、x 座標軸(x1x2x3) での 1|yx| の勾配は、grad1|yx|=(x11|yx|x21|yx|x31|yx|)であるところ、1行目は、第1章 数学の準備 [p110 赤字部分(公式1.35の gradf を計算するときの要領]のとおり、x11|yx|=y1x1|yx|3となる。

2行目も、同様に計算して、以下のようになる。x21|yx|=y2x2|yx|33行目も、同様に、x31|yx|=y3x3|yx|3となるので、これら3つの計算結果をまとめると、与式は、grad1|yx|=(y1x1|yx|3y2x2|yx|3y3x3|yx|3)=1|yx|3(y1x1y2x2y3x3)=1|yx|3(yx)=yx|yx|3となる。


p127 重力ポテンシャルの勾配 ϕ(x)

位置 xでの重力場(のマイナス)。

単位は、x[m2s2]=[ms2]


p127 重力ポテンシャルのラプラシアン Δϕ(x)

単位は、2x2[m2s2]=[1s2]



§2 応力テンソル 



p132 応力 T, S の比較

応力 T, S は、単位面積あたりの力 [Nm2] を指しているので、応力T を認識する断面の面積を PT 、応力S を認識する断面の面積を PS とすると、PS cosθ=PTの関係があるから、応力に対応断面積を乗じた力どうしの比較では、|T|cosθ×PT=|S|×PS|T|cosθ×PScosθ=|S|×PS|T|cos2θ=|S|となる。


p133 τyxτyyτyz

  • τyxx 軸に垂直な微小面の左側にある物質が微小面を y 軸方向にずらそうとする剪断力
  • τyyy 軸に垂直な微小面の手前側にある物質が微小面を y 軸方向に押す力
  • τyzz 軸に垂直な微小面の下側にある物質が微小面を y 軸方向にずらそうとする剪断力


p134 nz=cosθ

nez=|n||ez|cosθ=1×1×cosθ=cosθ他方で、nez=(nxnynz)(001)=nx×0+ny×0+nz×1=nz従って、nz=cosθ


p135 平面 π の圧縮応力の大きさ Fn


p136 力のモーメント T

力を F[N]、回転半径を r[m] とすると、

T=Fr

単位は、[Nm]


p137 慣性モーメント I

回転体の回転のし難さ(慣性モーメント)I は、回転体の質量を M[kg]、半径を r[m] とすると、

I=kMr2

単位は、[kgm2]


p137 角加速度 θ¨

  • 角度   θ   [rad]
  • 角速度  θ˙=ddtθ   [rads]
  • 角加速度 θ¨=d2dt2θ   [rads2]

p137 回転の運動方程式 Iθ¨=T
直線の運動方程式は、ma=F単位は、[kg]×[ms2]=[mkgs2]=[N]
これに対し、回転の運動方程式は、慣性モーメントを I、角加速度をθ¨、トルクを T とすると、Iθ¨=T単位は、[kgm2]×[rads2]=[mkgs2m(rad)]=[Nm(rad)]=[Nm]
*角度radは、弧の長さ(m)と半径の長さ(m)の比 (mm=1 。無次元量)のため、省略記載。

p138 面積力と体積あたりの力
ガウスの発散定理より、x 軸に垂直な微小面に対する応力 τx について、Sτxn dS=Vdivτx dS 他の成分についても、同様の等式が成立するので、p138の6~7行目の等式が成立する。

p138 アインシュタインの縮約記法による書換え
  • x, y, zx 系座標の趣旨で x1, x2 x3
  • 単位法線ベクトルを n=(n1n2n3)
  • τ=(τ11τ12τ13τ21τ22τ23τ31τ32τ33)
と表記すると、τ行列1行目の τ1=(τ11, τ12, τ13) と単位法線ベクトル n の内積は、
τ1n=(τ11, τ12, τ13)(n1n2n3)=τ11n1+τ12n2+τ13n3=τ1j nj と縮約記法で表記できる (走る添え字 j は、数値1, 2, 3 をとるものとする)。
τ行列2行目の τ2n との内積も、同様に、τ2n=τ2j njとなり、τ行列3行目の τ3n との内積も、同様に、τ3n=τ3j njとなる。
これら3式を、縮約記法でまとめ表記すると、τ1j njτ2j njτ3j nj}=τij njと表される(止まっている添え字 i は、数値1, 2, 3 をとるものとする)。
すなわち、(τxnτynτzn)=(τ1nτ2nτ3n)=τij njよって、p138 の6~7行目の式の左辺は、以下のとおり、同頁下から2行目の式の左辺に書換え表記できる。(Sτxn dSSτyn dSSτzn dS)=Sτij nj dS
他方、右辺については、div τxを例にとると、div τx=div τx1=(x1x2x3)(τ11, τ12, τ13)=τ11x1+τ12x2+τ12x3=τ1jxjと縮約記法で表記できる (走る添え字 j は、数値1, 2, 3 をとるものとする)。よって、同様に、div τy=τ2jxjdiv τz=τ3jxj
と表記できるので、これら3式を縮約記法でまとめ表記すると、div τxdiv τydiv τz}=τijxjと表される(止まっている添え字 i は、数値1, 2, 3 をとるものとする)。
よって、p138 の6~7行目の式の右辺は、以下のとおり、同頁下から2行目の式の右辺に書換え表記できる。(Vdiv τx dVVdiv τy dVVdiv τz dV)=Vτijxj dV従って、p138 の下から2行目の式が成立する。


§3 流体の基礎方程式 



p140 平行六面体の体積
hΔS=vnΔS

p142 流体が持つ運動量
ρvn はスカラー量なので、ベクトルの各要素と乗ずることができ、
(ρvn)v=ρvn(vxvyvz)=(ρvxvnρvyvnρvzvn)

p142 式2.04
各要素にガウスの発散定理を適用している。
例えば、括弧内の第1要素について、A=ρvxvとして、Sρvxvn dS=SAn dS=VdivA dV=Vdiv(ρvxv) dV第2要素、第3要素も同様。

p142 div(ρvxv) の縮約記法による表現
div(ρvxv)=div(ρvxvxρvxvyρvxvz)=(ρvxvx)x1+(ρvxvy)x2+(ρvxvz)x3=U11x1+U12x2+U13x3=U1jxjとなる(走る添え字 j は、数値1, 2, 3 をとるものとする)。
これを領域V で体積分したものが、VU1jxj dVであり、p142の式2.06の左辺の第1要素である(同式ではjiへと表記替え)。

p142 式2.06
VUx dVは、『Ux で偏微分したものを体積分したもの』ではなく、左辺にあるとおり、3つの体積分を要素として持つベクトル。

p143 閉曲面S の表面に働く面積力
式2.08の1~2行目は、各要素にガウスの発散定理を用いて変形している。

p143 閉局面S 内の領域V の流体に働く体積力
単位質量当たりの力F  [Nkg]に密度ρ  [kgm3] を乗じたものが、ρF  [Nm3]これを領域V で体積分したものが、VρF dV  [N]

p144 単位時間あたり単位面積あたりの流入する運動量
単位時間・単位面積では、質量 ρvn の流体が流れ出るところ、これに速度v を乗じたものが運動量であるから、その運動量は、p142にあるとおり、(ρvn)vである。
流入する運動量の場合、符号を逆転させ、(ρvn)vとなる。

p145 2~4行目[第 i 成分の表示]
4行目左の式U1jxj=div(ρv1v)は、p142の式2.05である(走る添え字 j は数値1,2,3をとる)。これは、p142のU=Uijの1行目の横ベクトル U1j を、x 座標(x1, x2, x3)で拡散div したものである。

p145 7~9行目
7行目と同様の式は、vx (x 座標表記の場合は=v1) のみならず、vy(=v2), vz(=v3) との関係でも成立するから、{div(ρvxv)=ρvgradvx+vxdiv(ρv)div(ρvyv)=ρvgradvy+vydiv(ρv)div(ρvzv)=ρvgradvz+vzdiv(ρv)x 座標(x1, x2, x3)表記では、{div(ρvx1v)=ρvgradv1+v1div(ρv)div(ρvx2v)=ρvgradv2+v2div(ρv)div(ρvx3v)=ρvgradv3+v3div(ρv)行列 U を用いて左辺を表現すると、{U1jxj=ρvgradv1+v1div(ρv)U2jxj=ρvgradv2+v2div(ρv)U3jxj=ρvgradv3+v3div(ρv)左辺は、止まっている添え字 i (数値1,2,3をとるものとする)を用いて表記を変換し、U1jxjU2jxjU3jxj}=Uijxj=Uxのように、3行をまとめた行列(p142のベクトル U, x)での表記ができる。

右辺の第1項も、p145赤字表記に従うとすれば、3行をまとめた以下のベクトル表記ができる。
ρvgradv1ρvgradv2ρvgradv3}=ρv(gradv1gradv2gradv3)=ρ(vgrad)v
*この表記法は、通常の表記法(grad のような表記法)と異なり、勾配の対象「」が 、grad の直後に位置していない。括弧の外右側に位置する v について、順次、(1)その各要素に勾配の演算を実施した後、(2)左側の v との内積の演算を行う趣旨である。

右辺の第2項も、3行をまとめた以下のベクトル表記ができる。v1div(ρv)v2div(ρv)v3div(ρv)}=div(ρv)(v1v2v3)=div(ρv)v

よって、ベクトルの式にまとめた結果は、p145の9行目のようになる。

p145 (ρv)t の時間 t による微分実行
ρ, v が、いずれも時間 t の関数である場合、ライプニッツ則(p26)(fg)=fg+fgにより、(ρv)t=ρtv+ρvtとなる。

p147 pδij
δij={1if (i=j)0if (ij)なので、ij とが1, 2, 3 と変化するとき、
  • δ11=δ22=δ33=1
  • δ12=δ13=δ21=δ23=δ31=δ32=0
これを、ij 列の行列で表現すると、δij=(100010001)よって、pδij=(p000p000p)

p147 VUijxj dV
末尾から7行目の[成分表示式]の右辺第1項 VUijxj dVは、p142の式2.05及び2.06と同じもの。
計算手順は、以下のとおり。
  1. U11x1+U12x2+U13x3 を計算して、U1jxj を求める。
  2. U1jxj を体積分して、VU1jxj dVを求める。
  3. 同様にして、VU2jxj dVVU3jxj dV も求める。
  4. VU1jxj dVVU2jxj dVVU3jxj dV の3つの要素を持つベクトルを組む。
末尾行の右辺にあるVTijxj dVも同様。『Tijxj で偏微分したものを体積分したもの』ではない。

p148 運動量の時間微分は力
  • 時間をt
  • 質量をm
  • 速度をv
  • 加速度をa
  • 力をF
とすると、運動量mv の時間微分は、
ddt(mv)=mddtv=ma=F


§4 クーロンの法則の書き換え 



p150 電磁気の法則
F=14πεqQr2
F=qvB
H=I2πr
V=dΦdt

p154 複数の電荷 A1, A2,を含む閉曲面 S と点 B 
B は、閉曲面 S 内、 閉曲面 S 上、閉曲面 S 外に存在し得る。

p156 微小面 T
B の位置 x の微小面 T は、閉曲面 S 内・上・外に存在し得るが、式2.17SE(x)n(x) dx=Qεは、複数の電荷 A1, A2,を含む任意の閉曲面について成立するから、結局、そのような閉曲面であれば、閉曲面を貫通する全電気力線の本数 SE(x)n(x) dx が、一定値 Qε となることを示している。

p157 2~12行目 数学的に厳密ではない導出
電荷 Ai の位置を xi、 電荷 B の位置を x としていた表記法(p154)に従えば、
  • 位置 xi での電荷密度が ρ(xi)
  • 式2.17は、VdivE(x)dx=1εVρ(xi) dxi
  • divEx=ρ(xi)ε  極小領域(xxi)では、divEx=ρ(x)ε
  • divDx=ρ(xi)  極小領域(xxi)では、divDx=ρ(x)
となる。

p157 静電ポテンシャル Φ(x)
位置 y の電荷が生み出す位置 x における電位 V のこと。
例えば、電荷 Qを中心とする半径 r の球体を考えると、
Φ(x)=14πεVρ(y)|yx|dy=14πεQr

p157 末尾から4~3行目 grad1|yx|
grad1|yx|=yx|yx|3導出方法は、前掲「p127 grad1|yx|」のとおり。

p158 E(x)=gradϕ(x)
電荷群 Ai が、位置 x にある点B に対して及ぼす電界 E(x) は、 式2.16の n を無限大 に近づけていくと( xiy に置換え表示 )、E(x)=limni=1n14πεQi|xxi|3(xxi)=V14περ(y)|xy|3(xy) dy=V14περ(y)|yx|3(yx) dy=14πεVρ(y)(yx|yx|3) dy=gradϕ(x)すなわち、静電ポテンシャル ϕ (=電位 V)の勾配(各要素を微分。p60)が、電界(のマイナス)となる。

p158 Δϕ(x)=ρ(x)ε
静電ポテンシャル ϕ (=電位 V )のラプラシアン Δ (各要素を2階微分して合算。p61)は、ϕ(x)の定義より(p157)、Δϕ(x)=Δ(14πεVρ(y)|yx|dy)=1εΔ(14πVρ(y)|yx|dy)これに定理1.39(p104)A(x)=14πVf(y)|yx|dyΔA(x)=f(x)を用いると、与式は、Δϕ(x)=1ε(ρ(x))=ρ(x)εとなる。


§5 静電場のエネルギー 



p162 物体を経路に沿って動かすときの仕事(線積分)
仕事 W は、力 F の接線方向の成分と微小距離の積(=力 Fと接線ベクトルとの内積)を全経路にわたって合算したものであるから、曲線の接線ベクトルを drds とすると(パラメータ s による表示。p72)、
limni=1nF(Xi)Δri=CFdrds ds=CFdrとして線積分により計算される。

p163 Cgradϕdr
Cgradϕdr=Cgradϕdrds ds=C(ϕxϕyϕz)(dxdsdydsdzds) ds=C(ϕxdxds+ϕydyds+ϕzdzds) dsここで、3変数の連鎖律(p29 定理1.07)dfdt=fxdxdt+fydydt+fzdzdtを用いると、与式は、3変数微分から1変数微分へと圧縮表記でき、Cgradϕdr=Cdϕdsds=[ϕ]s=as=b=[ϕ(x)]s=as=b=[ϕ(r(s))]s=as=b=ϕ(r(b))ϕ(r(a))=ϕ(b)ϕ(a)となる。

p163 電場E を線積分すると静電ポテンシャル(=電位)
CFr=q{ϕ(b)ϕ(a)}CqEdr=q{ϕ(b)ϕ(a)}CEdr=ϕ(b)ϕ(a)

p164 gradV(x)
x 軸方向に電圧V がかけられているので、y, z 軸方向への変化は存在しない。{V(x)y=0V(x)z=0

p165 電場E(r)=gradϕ(r)
x 軸方向にr の座標をとり、r=(r00)とすると、E(r)=14πεQr3r=14πεQr3(r00)=14πεQr2(100)他方で、スカラー場ϕ(r) のマイナス勾配は、gradϕ(r)=(xyz)14πεQr=14πεQ(xyz)r1=14πεQ(xr1yr1zr1)ここで、r は、x 軸上の数値であるので、xr1=r2=1r2である。
また、r は、y, z軸では変化しないから、yr1, zr1 は、0 である。
よって、与式は、gradϕ(r)=14πεQ(1r200)=14πεQr2(100)従って、E(r)=gradϕ(r)が成立する。

p165 ϕ(a), ϕ()
ϕ(r)=14πεQrに各数値を代入すると、ϕ(a)=14πεQa であり、ϕ()=14πεQ=0 である。

p166 末尾5~4行目
公式1.18(p61)を用いて、(divE)ϕ=div(ϕE)gradϕEと変形している。

p167 オーダー(桁)論
ϕ(r) は、
ϕ(r)=14πεQrなので、1r 関数。
他方で、E(r) は、E(r)=|E|=|14πεQr2(100)|=14πεQr2なので、1r2 関数。
球面S の表面積は、S(r)=4πr2であり、r2 関数。
このため、第1項(ϕE の面積分)は、12ε0SϕEndS1r1r2r2=1rとなり、r のとき、0 となる。

p167 静電場のエネルギー密度
静電場のエネルギーU [J] の単位体積あたりの量。
単位は、[Jm3]


§6 アンペールの法則の書き換え 



p169 HC について線積分
半径r の円である曲線C の磁場ベクトルH(x) は、曲線C の単位接線ベクトルn(x)と同じ方向であるから(ベクトル内角θ=0)、両ベクトルの内積は、Hn=|H||n|cosθ=|H|×1×1=Hこれを円周2πr 倍したものが線積分であるから、CHndx=H×2πr

p170 電流密度 i(x)
電流密度 i(x)は、位置x における面積あたり時間あたり通過電気量。
単位は、[Qm2s]これに通過面積Sを乗じたものが、電流I であり、
その単位は、毎秒あたり通過電気量として、[Qs]=[A]とあらわされる。

p170 div i(x)=0
電流の値が一定(時間変化がない)の場合、微小直方体に流入する電荷と流出する電荷の両が等しい(p43)。

p170 電荷の保存則
磁界H の回転は、電場Dの時間変化及び電流密度i の和に等しい。rotH=tD+i

p171 磁束密度B、透磁率μ、磁束Φ
{B=μHΦ=|B|×SV=ddtΦ

p172 I ds
アンペールの法則より、|B|Iその微小部分については、d|B|dI となりそうだが、電流I は電線のどの箇所でも一定値であることを踏まえると、微小な電線部分をds として、d|B|I dsと置ける。

p173 xy|xy|
xy|xy|は、分母と分子の大きさが同じであり分数全体の大きさは1
ベクトルの方向は、分子により、位置yから位置xへ向いている。
この結果、分数全体で、p172右図の点線方向(yからxへの方向)の単位方向ベクトルを示している。

ds とこの単位方向ベクトルとの外積として得られるベクトルの方向(=dBの方向)は、p21 の定義に従い、紙面前から紙面奥への方向となる。

p174 x=rtanθθ微分
θ による微分を 表記することにすると、p26のライプニッツ則・連鎖律を用いて、tanθ=(sinθcosθ)=sinθ(1cosθ)+sinθ1cosθ=sinθ(cosθ×dd(cosθ)cos1θ)+cosθ1cosθ=sinθ{sinθ×(cos2θ)}+1=sin2θ1cos2θ+1=sin2θ+cos2θcos2θ=1cos2θとなるので、
x=rtanθ の両辺をθ で微分すると、ddθx=ddθrtanθ=rddθtanθ=rcos2θとなる。
左辺は、θ を微小変化させたときのx の微小変化であるから、微小変化(微分)を分母と分子に持つ分数dxdθ と見て良いので、上記式の両辺に、微分dθ を乗ずることができ、dx=rcos2θdθが得られる。

p174 dx×PA の大きさ
外積の大きさは、両ベクトルが張る平行四辺形の面積に等しい(p21)。
同平行四辺形の面積は、p173 の図で底辺の長さがdx 、高さr のものであるから、|dx×PA|=r dx=rrcos2θdθ

p174 dx の置換積分
x から まで変化させるとき、θ は、π2 からπ2 まで変化するので、B=dx=π2π2dθと置換して積分することができる。

p175 dB の向き
図のdB の方向図示は逆向きか。

p175 |ds×PO|
外積の大きさは、両ベクトルの絶対値と正弦 sinθを乗じたものであるから(p22)、dsPO が直交していることを踏まえると、|ds×PO|=|ds||PO|sinπ2=|ds|PO×1=|ds|PO

p175 コイル1周分の積分で x 軸方向以外は打ち消しあう
コイルの周上を点P が一周する場合、微小電流 I dsPO の外積を方向ベクトルとして含む磁束密度 dB は、(y, z) 平面では、原点O を中心とする円運動を描く。よって、コイル1周分で積算すると、y, z 軸方向の成分はプラス・マイナスで打ち消しあい、0 となる。

このため、dBx 軸方向のみの要素(dBx 軸に対して θ の角度を保つことから、cosθ を乗じたもの)の1周分の積算をすればよい。

p176 1~2行目 置換積分
xからθ への置換積分。
x から まで変化させるとき、θ は、π2 からπ2 まで変化する。

p176 rot(i(y)|xy|)
rot(i(y)|xy|)=(i(y)|xy|)=(x1x2x3)×(i(y)|xy|)=(x1x2x3)×(i1(y)|xy|i2(y)|xy|i3(y)|xy|)=(x2(i3(y)|xy|)x3(i2(y)|xy|))この行列の第1行目を検討する。y は、(y1y2y3) であり、x2, x3 との関係では、定数であるから、行列の第1行目は、p177 の2~3行目のように、変形できる。

p177 x2(1|xy|)
3行目第1項の i3(y)x2(1|xy|) に含まれる偏微分の箇所は、第1章 数学の準備 [p110 赤字部分(公式1.35の gradf を計算するときの要領]と同様に、|xy|2=u と置くことで、以下のように変形できる。x2(1|xy|)=x2u×u1uこの計算を実行すると、x21|xy|=x2u×u1u=x2{(x1y1)2+(x2y2)2+(x3y3)2}×uu12=x2(x222x2y2+y22+)×(12)u32=(2x22y2)×(12)1u32=(x2y2)1|xy|2×32=(x2y2)1|xy|3=x2y2|xy|3となる(*)。
なお、表記上、p177 の赤字注のように、x2y2 のことを (xy)2 の如く、ベクトル下添字によりベクトルの特定成分を表現することとした場合には、最後の部分は、=(xy)2|xy|3となる。
|xy|=|(x1y1x2y2x3y3)|=(x1y1)2+(x2y2)2+(x3y3)2=u を用いた。

p177 i(y)×(xy)|xy|3 の第1成分
i(y)×(xy)|xy|3=1|xy|3(i1(y)i2(y)i3(y))×(x1y1x2y2x3y3)=1|xy|3(i2(y)(x3y3)i3(y)(x2y2))となるので、第1成分は、1|xy|3{i2(y)(x3y3)i3(y)(x2y2)}=i2(y)x3y3|xy|3i3(y)x2y2|xy|3となり、p177 の4行目と一致する。
第2成分、第3成分についても、同様に一致する。
よって、問題2.14の等式が成立する。


§7 ファラデーの電磁誘導の法則の書き換え 



p181 平行四辺形(vΔt×dr)を貫く磁束の本数 Δη
位置 x における磁束密度を B(x) とし、位置 x で微小面T(面積はΔS。単位法線ベクトルが n(x) となるような方向の面)を考えると、p156 の分析と同様に、T を貫く磁束の本数は、B(x)n(x)ΔSここで、vΔt×dr は、外積の定義から(p21)、その絶対値は両ベクトルで貼られる平行四辺形の面積に等しく、かつ、同外積の向きは同平行四辺形の法線方向であるから、vΔt×dr=n(x)ΔSである。
よって、同外積をもって単位法線ベクトル n(x) と微小面積 ΔS とを置き換えることができる。
すなわち、平行四辺形(vΔt×dr)を貫く磁束の本数 Δη は、以下のようになる。Δη=B(x)vΔt×dr

p181 末尾8~7行目
cΔηは、微小平行四辺形を貫く磁束の本数 Δη を、コイルC 全体を周回して線積分することで、斜柱側面全体面を貫く磁束の本数(=コイルC, C 間移動におけるコイルを貫く磁束の本数の変化)を計算している。
dΦdtは、末尾8行目式を t で微分することで、誘導起電力を求めている。
同微分により、Δt が消去される。
B(x)×v=v×B(x)は、ベクトル積の交換法則(p20)による。


§8 電磁波 



p184 2~5行目 trotB(x,t)
式2.29(p183)より、rotB(x,t)=ε0μ0E(x,t)t両辺を t で偏微分すると、trotB(x,t)=ε0μ02E(x,t)t2よって、2行目第2項は、5行目第2項のとおり置き換えできる。

p184 9~12行目 trotE(x,t)
式2.27(p183)より、rotE(x,t)=B(x,t)t両辺を t で偏微分すると、trotE(x,t)=2B(x,t)t2よって、9行目第2項は、12行目第2項のとおり置き換えできる。

p185 x{Cexsin(kxct+α)}
合成関数の微分の公式(p26)により、
x{Cexsin(kxct+α)}=Cexxsin(kxct+α)=Cexx(kxct+α)×(kxct+α)sin(kxct+α)と変形できる。
ここで、後半の微分は、三角関数の微分であるから(kx は内積でありスカラー値)、(kxct+α)sin(kxct+α)=cos(kxct+α)である。
前半の x による微分は、x 座標軸との関係では、x1 のみが変数であり、ct, α, k1, k2, k3, x2, x3 は、いずれも定数であるから(x2y 軸、x2z 軸方向の変数である)、
x(kx)=x(kxkykz)(x1x2x3)=x(kxx1+kyx2+kzx3)=x(kxx1)=kxとなる。
よって、与式は、以下のようになる。x{Cexsin(kxct+α)}=Cexkxcos(kxct+α)同様に計算することで、以下の2式も得られる。
y{Ceysin(kxct+α)}=Ceykycos(kxct+α)
z{Cezsin(kxct+α)}=Cezkzcos(kxct+α)
これら3式を合計すると、p185の8行目の式が得られる。

p185 B(x,t)x 成分 Bx(x,t)
Bx(x,t) を時間 t について偏微分すると、tBx(x,t)=t1c(kyezkzey)Csin(kxct+α)=1c(kyezkzey)Ctsin(kxct+α)ここで、sin の中の kx はスカラー値でありt との関係では定数であり、αt との関係では定数であるから、偏微分の箇所は、合成関数の微分の公式(p26)により、tsin(kxct+α)=t(kxct+α)×(kxct+α)sin(kxct+α)=t(ct)×cos(kxct+α)=c cos(kxct+α)である。
よって、与式は、tBx(x,t)=1c(kyezkzey)C×{c cos(kxct+α)}=(kyezkzey)Ccos(kxct+α)となる。
すなわち、 末尾3行目の Bx(x,t) は、末尾5行目の式を充たす。

p186 E(x,t)
E(x,t) (p185の2行目の式)は、p103 の解釈から、k 方向に速度c で進む波であり、振幅の大きさは C|e|、振幅の方向はe 、位相の遅れはα である。
また、185 で求めたとおり、ke=|k||e|cosθ=0 であるので、cosθ=0 である。
すなわち、両ベクトルのなす角度 θ は直角 (θ=π2) である。

p186 (k×e)e とは直交
外積の性質(p21)より、k から e の方向へ回転させた場合の右ねじの進む向きが k×e (紙面手前向きの赤色ベクトル)の向きとなる。


§9 静磁場エネルギー 



p188 rotE=0
電場E は、式2.18(p158)より、E(x)=gradϕ

p189 仕事率 w(t)
仕事率 w(t) は、単位時間内に仕事に使われるエネルギー。
仕事に使われるエネルギーをW、時間をt とすると、w(t)=dWdt
単位は、[Js]=[W]他方で、電力Pは、単位時間に電流Iがする仕事量であり、電圧をVとすると、P=VIよって、仕事率w(t) と電力Pは、同等の概念。
末尾4行目の V は、プラス方向の座標を前提に計算している。

p189 B(t)tB(t) の積分は、12B2(t)
12B2(t)t による微分は、連鎖律(p26)より、t(12B2(t))=12tB2(t)=12tB(t)×B(t)B(t)2=12tB(t)×2B(t)=tB(t)×B(t)=B(t)tB(t)よって、B(t)tB(t) の積分は、12B2(t)

p190 5行目 静電場のエネルギー
静電場のエネルギーは、p167 にあるとおり、12ε0E2

p190 ジュール熱
ジュール熱の量をQ [J] 、電圧をV、電流をI、通電時間をt とすると、ジュールの法則Q=VItが成立している。
単位時間当たりに発生するジュール熱W [Js] は、W=Qt=VIである。なお、同単位は、[Js]=[W()]とも表記される。
単位体積、単位時間あたりのジュール熱を w [Jsm3] とすると、抵抗の体積は、長さをl、断面積をΔS とすると、lΔS [m3] であるから、W=wlΔS [Js]である。

p191 ジュール熱の場の方程式
電場 E と電流 i のなす角度を θ とすると、p161 のとおり、電流 i 方向への電場 E の大きさは、|E|cosθとなる。
単位体積あたりの仕事率(単位体積・単位時間あたりのジュール熱)wは、p190 のとおり、両者の積|i||E|cosθとなる。
これは、内角の定義に従い、Eiと表現できる。
よって、w=Eiとして、ジュール熱の場の方程式が導出される。
w の単位は、[Jm3s]である。


§10 マックスウェルの応力テンソル 



p193 Ten=(Txn, Tyn, Tzn)
行列の積として計算をすると、
Ten=(TxxTxyTxzTyxTyyTyzTzxTzyTzz)(nxnynz)=(Txxnx+Txyny+TxznzTyxnx+Tyyny+TyznzTzxnx+Tzyny+Tzznz)他方で、T=(TxTyTz)とおくと、例えば、Tx=(Txx Txy Txz)n との内積は、Txn=(Txx Txy Txz)(nxnynz)=Txxnx+Txyny+Txznzとなり、行列の積の計算結果の1行目と同じである。
2行目、3行目についても、同様に一致が確認できる。
したがって、Ten=(TxnTynTzn)と整理できる。

p193 Txxx
Txxx=x{ε(Ex212E2)}=ε2x(2Ex2E2)ここで、E=|E| であることを踏まえると(p192)、
被微分関数 2Ex2E2 は、2Ex2E2=2Ex2|E|2=2Ex2(Ex2+Ey2+Ez2)=Ex2Ey2Ez2なので、与式は、以下のようになる。Txxx=ε2x(Ex2Ey2Ez2)
このうち第1項 xEx2 については、ライプニッツ則(p26)(fg)=fg+fgを用いて、xEx2=ExxEx+ExExx=2ExExxとなる。
第2項 xEy2 についても、同様に、xEy2=2EyEyxとなり、第3項 xEz2 についても、同様に、xEz2=2EzEzxとなる。
よって、与式は、以下のように整理される。
Txxx=ε2(2ExExx2EyEyx2EzEzx)=ε(ExExxEyEyxEzEzx)

p193 Exy=Eyx
電位ポテンシャル ϕ の勾配は、マイナス電界 E なので(p165)、E=gradϕ(ExEyEz)=(ϕxϕyϕz)(Ex xEy yEz z)=(ϕϕϕ)となる(右辺の分数は微小部分の分数とみなせるので、各分母x, y, zを両辺に乗じた)。
1行目と2行目とを比較すると、(x軸方向のϕの微小変化とy軸方向のϕの微小変化とが同じとき)Ex x=Ey yExy=Eyx各軸方向の電界Ex, Ey の微小変化の変化率が同じであるとき、Ey=Eyxとなる(要確認?)。

p195 sTxndS
ガウスの発散定理(p91)より、STxndS=VdivTx dV=V(Txxx+Txyy+Txzz)dV=V[1μ0{(BxzBzx)Bz(ByxBxy)By}]dV同式の括弧内が、ベクトル積i×B=1μ0rotB×B=(1μ0{(BxzBzx)Bz(ByxBxy)By})の1行目と等しいので(末尾4~2行目)、これを、(i×B)1と表すと(p177の表現方式)、与式は、STxndS=V(i×B)1dVとなる。
同様に、sTyndSSTzndS についても、STyndS=V(i×B)2dVSTzndS=V(i×B)3dVとなる。これら3式を、Tm に関する式としてまとめると、STmndS=S(TxnTynTzn)dS=V((i×B)1(i×B)2(i×B)3)dV=Vi×B dV

p196 i×B は、単位体積当たりローレンツ力
電荷密度 ρ [Qm3]、電荷の速度 v [ms] として、電流密度i [Qm2s] は、i=ρv他方で、ローレンツ力 F は、電荷をq とすると、F=qv×Bである(p181)。
よって、体積あたりのローレンツ力を f 、体積をV [m3]とすると、f=FV=qVv×B=ρv×B であるので、i×B=ρv×B=fとなる。
これを体積積分したVf dVは、領域V が磁場から受けるローレンツ力 F を示している。

p196 静電場のエネルギー密度
静電場のエネルギー密度は、p167 のとおり、12ε0E2ここで、電束密度の大きさ D は、D=ε0Eであり(p155)、そのベクトル Dの方向は、電界ベクトル E の方向と同じであるから、12ε0E2=12ε0EDε0=12ED=12|E||D|cos0=12EDとして、両ベクトルの内積として表現できる。

p196 静磁場のエネルギー密度
静磁場のエネルギー密度は、p190 のとおり、12μ0B2ここで、磁束密度の大きさ B は、B=μ0Hであり(p171)、そのベクトル Bの方向は、磁界ベクトル H の方向と同じであるから、12μ0B2=12μ0Bμ0H=12BH=12|B||H|cos0=12BHとして、両ベクトルの内積として表現できる。

p197 ED2 の時間微分
tED2=t(EεE2)=ε2t(EE)=ε2t{(ExEyEz)(ExEyEz)}=ε2t(Ex2+Ey2+Ez2)
ここで、tEx2 について、ライプニッツ則(p26)を用いると、tEx2=ExExt+ExtEx=2ExExttEy2tEz2 についても同様に考えられるので、 与式は、tED2=ε2(2ExExt+2EyEyt+2EzEzt)=ε(ExExt+EyEyt+EzEzt)となる。
他方で、EDt=(ExEyEz)(tεExtεEytεEz)=ε(ExExt+EyEyt+EzEzt)よって、tED2=EDtと言える。
これは、ベクトルE, D をスカラー値とみたてて微分したものと、結果的に一致する。

p197 BH2 の時間微分
ベクトル B, H をスカラー値とみたてて微分すると、tBH2=12t(BH)=12t(B1μB)=12μt(BB)=12μ(BBt+BtB)=12μ(2BBt)=BμBt=HBtと変形可能である。

p197 末尾4行目~3行目
ガウスの発散定理(p91)を用いて、Vdiv(E×H)dV=S(E×H)n dSと変形している。


§11 マックスウェルの方程式をポテンシャルで書き換え 



p205 ρ, i, ϕ, A, B, E
位置x、時間t で定まる電荷密度 ρ と電流密度 i により、電界 E と磁束密度 B とが求められる。
  • 電荷密度 ρ
  • 電流密度 i
  • スカラーポテンシャル ϕ
  • ベクトルポテンシャル A
  • 電界 E
  • 磁束密度 B

ローレンツ・ゲージ条件は、divA+ε0u0ϕt=0