新民法536条1項(引渡債務の債務者に帰責の事案)

新民法536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。



引渡債務の履行不能についてX帰責事案の場合、他の抗弁として、以下のものが成立し得る。

  • 533条の同時履行の抗弁権(債務者の店舗賠償債務との同時履行)
  • 引渡債務の履行不能による契約解除


構造上、536条1項の履行拒絶権と填補賠償請求権の両方を、Yが享受できない形となっており、均衡がとれている。

注: 伊藤編「新民法(債権関係)の要件事実Ⅱ」青林書院391頁★15の6行目に「債権者Yが契約を解除しないで債務者Yに対して」とあるのは誤記で、「債権者Yが契約を解除しないで債務者Xに対して」が正しいと思われる。