新民法536条1項(危険負担)
新民法536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
1項の条文通りに仮置きすると、以下のとおりになる。

ここで、要件事実の観点から、以下の修正をおこなう。
その結果、以下のとおりに整理された。

ド・モルガンの法則について補足。Y帰責を\(Y\)、X帰責を\(X\)と表示することにすると、「Y無責」は\(\overline{Y}\)、X無責は\(\overline{X}\) と表現され、「Y無責かつX無責」は、
\[\overline{Y}\cap\overline{X}\]であるから、その反対事象(余事象)は、\begin{eqnarray}\overline{\overline{Y}\cap\overline{X}}&=&\overline{\overline{Y}}\cup\overline{\overline{X}}\nonumber \\&=&Y\cup X\nonumber\end{eqnarray}となり、「Y帰責またはX帰責」であることが、確認できる。
なお、同様のことをベン図で示すと、以下のとおりである。「Y無責かつX無責」は、方形(全事象)から二つの円をいずれも除外した領域(灰色部分)である。これの反対事象(余事象)は、二つの円を合体した眼鏡上の領域(オレンジ色、青色部分、両部分の交差部分)である。

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
1項の条文通りに仮置きすると、以下のとおりになる。

ここで、要件事実の観点から、以下の修正をおこなう。
- 抗弁の「Yの責めに帰することができない」との消極事実は、反対事象たる積極事実の形「Yに帰責事由あり」にして、再抗弁へと移動。これは、2項前段とも整合する。
- 抗弁の「Xの責めに帰することができない」との消極事実は、反対事象たる積極事実の形「Xに帰責事由あり」にして、再抗弁へと移動。
- 上記要素「Y無責かつX無責」の反対事象は、「Y帰責またはX帰責」であるから (ド・モルガンの法則)、各々が独立の再抗弁となる。
その結果、以下のとおりに整理された。

ド・モルガンの法則について補足。Y帰責を\(Y\)、X帰責を\(X\)と表示することにすると、「Y無責」は\(\overline{Y}\)、X無責は\(\overline{X}\) と表現され、「Y無責かつX無責」は、
\[\overline{Y}\cap\overline{X}\]であるから、その反対事象(余事象)は、\begin{eqnarray}\overline{\overline{Y}\cap\overline{X}}&=&\overline{\overline{Y}}\cup\overline{\overline{X}}\nonumber \\&=&Y\cup X\nonumber\end{eqnarray}となり、「Y帰責またはX帰責」であることが、確認できる。
なお、同様のことをベン図で示すと、以下のとおりである。「Y無責かつX無責」は、方形(全事象)から二つの円をいずれも除外した領域(灰色部分)である。これの反対事象(余事象)は、二つの円を合体した眼鏡上の領域(オレンジ色、青色部分、両部分の交差部分)である。
